701 名前:あぽときしん大王 1[sage]:2007/03/19(月) 11:26:22 ID:bYG2r5g6

 

>>698-700
誠にありがとうございました。
ここで閑話休題をば。

あずまんが大王があそこで終わってちょうどよかった一つの理由に、
マヤーが榊さんの元に渡る前で話が切れていることがあると思うのですが、皆様はいかがでしょうか。
あれなら「実はマヤーを飼わなかった」という選択肢もありですし。

まあ、ファンタジーについて真剣に考えてはいけませんね……
ついでに小話投下。前回と話し筋が似ていますが、大阪×榊です。




「コーヒー、飲みませんか?」
ここは美浜ちよ、卒業したばかりの天才幼高校生の家である。
遅くとも一週間前には、そこに一匹のイリオモテヤマネコがいた。
私たちが住む世界でも向こう側でも「特別天然記念物」であることには変わりがなく、
扱いにどのような違いがあるかはわからない。
ましてや、あちらの世界では小動物が一瞬で遠隔地へ移動できるのか、
それがどのような方法なのかも一切謎である。むしろ、それこそがかの世界らしさなのかもしれない。

今のは余談が過ぎた。
そう、美浜家には一匹のイリオモテヤマネコ、名をマヤーというものがいた。
だが今はいない、それ以上のことは言うまい。
「どうしました?寂しいですか?」
「ん……大丈夫」
返しつつも部屋の隅々を見渡していたのは、名付け親の榊という少女であった。
少女というには背丈が大きすぎるだろうか。いや、顔立ちや首筋から表れる肌の若さ、
また小動物を愛玩する趣味などを鑑みると適当な呼び方であろう。

春先にもかかわらず電気ごたつが未だにしまわれていないのは、使用する者がいるからである。
事実、テーブルの下にはまた一人女子が眠っている。関西弁を話すためか、周辺から「大阪」と呼ばれる。
「榊ちゃん、ネコからも卒業やなあ」
おもむろに口を開いた。目は開いていないが、眠っているわけではなかったようだ。
「みんな、これからどうなるんでしょうね」
「……ちよちゃんは、そのままで」
「そうや、大きくなってもうたらちよちゃんやないで。ちよや」
「ええっ!?もっと大きくなりたいです」
ふと振り向くと、榊はいつの間にか涙をあふれさせかけていた。
「だめ、大きくなったら……私は」
「しっかりしてください、榊さん!かみネコとも仲良くなれたじゃないですか」
ちよが強い声で慰めを送ろうとする。
「でも、そうじゃなくて」
そう言いかけた時、大阪が自発的に起き上がった。
「まーまー。とりあえず、な、コーヒーでも飲んどき?」
「そうです、そうですよ、冷めないうちに飲みましょう」
「……分かった」
カップを手に取ると、中身だけのものではないぬくもりが感じられた。
「ピカニャーもまた戻って幸せになっとると思うんよ」
「そうですねぇ。でも、お母さんはどうしたんでしょう」
会話を耳にして感傷にひたりつつ、榊は液体に口をつけ喉に通す。
――みんな、私が好きな人も物も、全部行っちゃうんだね――
そう思うと、ひとりでに涙も流れ、胸も熱くなってくるものだ。 
 

 

702 名前:あぽときしん大王 2[sage]:2007/03/19(月) 11:27:23 ID:bYG2r5g6

違う。
胸だけじゃない、全身が熱い。
視点も定まらないでぼやけて見える。
とりあえず、頭を冷やさないと、いや、立つこともままならない。
うそだ……からだがやけて、あついよ、もう、うごけない……

「大丈夫ですか!」
「……気の、せい?」
もう一度立とうとした時、手のひらが小さくなっているのに気づいた。
服も寸が合わず、体躯がすっぽりと収まっている。
ちよと大阪が立ち尽くし、榊をじっと見る。
彼女よりかなり身長が低いはずの二人と並ぶが、ちよとはあまり変わらず、
大阪には背を追い抜かれてまでいる。
「頭……冷やしてくる」
洗面所に向かうが、着衣が邪魔になって歩みが遅くなる。
――鏡を覗き込むと、一回りも二回りも縮尺が小さくなった自分の姿を見つけた。
「それ、待ってください!」
居間からそう切り出したのはちよだった。
彼女も焦りながらも、別の部屋――おそらく自室だろう――に向かう。
「あれ、ない……ないです、どこですか、ないですよぉ」
ガラス瓶をかき分ける音が同時に聞こえた。

状況が判然とせず、緩い服のまま突っ立っていると、後ろやや上から声がした。
声の主が誰なのか、顔を確認するにも見上げなければならない。
「かわええなぁ」
大阪、本名春日歩、が小さくなった少女の頬に両手を添える。
「けど胸は大きいんな。ほんまうらやましいわぁ」
手が襟のよれた首の下に及び、榊はかすかに赤面する。
「えっ、ちょっと……春日さん」
成長が逆戻りしているせいか、声もちよほどではないにせよ高いことに気づいた。
「三年間も付きおうとるのに、そんな丁寧に言わんでもええで。『あゆむ』って呼びぃ。
 ちよちゃん、まだまだ探しとるな」
大阪は上着のポケットをまさぐると、液体入りの透明な小瓶を手に持った。
常々の行動からは考えられない不敵な笑みを浮かべて。
「これな。飲むと体がちっちゃくなるって言っててな、飲んでみたらうそやなかったん」
しかしそう言う大阪は、現に体の大きさは変わっていない。
「……戻るのか?」
「ちよちゃんの研究室に連れてかれて、また何か飲んでな、
 本当にぎょうさん食べさせてもろーたんよ。二日はかかるで?」
「そう、か」
「でも榊ちゃん、大きいからもっとかかるかもしれへん」




703 名前:あぽときしん大王 3[sage]:2007/03/19(月) 11:28:26 ID:bYG2r5g6

気がついたら、大阪の手がすべての被服を脱がしていた。
むしろ元の体が大きいために、下半身の下着は既に降りていた。
「あの、これって」
間もなく大阪は、少女の体を洗面所の鏡に全身が写るように持ち上げる。
「いつもは絶対こんなことできひんけど、榊ちゃん、かわええなあ」
まざまざと今の状況を、幼くなった素の肢体を見せ付けられて恥じらう。
「この耳のあたりとか。この首筋のきれいなとことか」
口に出される具体的な場所に、生暖かい吐息がかかるのを感じた。
「ひゃ、う、いきなり……なに」
「『見た目は子供、感度はオトナ』なんて、ええかもしれんな」
ずれた性格の奥底に眠る倒錯した感情を言動に出し、榊を攻め続ける。
「この乳は子供なのにやらしいなぁ。ぐりぐりってしたると気持ちええやろ」
「ひぁっ」
「揉んだらもっと大きくなりそうやな」
「ん、春日……さんって、こんな」
「『あゆむ』って呼びいやって」
「あ、あゆ、歩、そこ、いじらないで……」

ちよが大きな足音を立てて戻ってきた。
「あー!見つかりません、どこですか――――おおさか、さん」
目の前の二人が行っていることを、全く脳が受け付けない。
「ちよちゃんが探しとんのって、これやな?」例の小瓶を持って示す。
「な、何で持ってるんですか、まさか榊さんを小さくしたのって」
自分の研究結果が軽々と扱われ、実際に人を弄ぶために使われてしまったことを知る。
「混ぜても気づかんかったみたいやな。味、せえへんから」
当然ちよのショックは大きく、犯人が大阪ならなおさらである。
「勝手に使っちゃダメってあれほど言ったじゃないですか!返してください」
「まあ怒らんで、見てみ」

洗面台の上に、全身をほてらせ喘ぐあどけない少女の姿があった。
「……や、ちよちゃんっ」
呼びかける声は、いつも彼女が発するそれと比べて非常に幼い。
「私と、おんなじくらいですね。かわいい」と、ついつい感心してしまった。
「そうや、そう思うやろ?榊ちゃんはかわええんや」
注目の対象となっている少女は、不思議そうに二人を見つめた。

そこで賢明なちよは、ぱっと思いついたように問いかけをする。
「榊さん、今まで何を求めてきましたか」
「え……私が好きなのは、猫とか、ぬいぐるみとか」
「『かわいい物』は、好きですか?」
「うん、大好きだ」

「自分についてどう思いますか?」




704 名前:あぽときしん大王 4[sage]:2007/03/19(月) 11:29:18 ID:bYG2r5g6

――背や胸ばかり、要らないものが大きくなってしまった自分。
   無口なだけなのに、他の女子から慕われている自分。
   猫を追っても追っても嫌われてしまう自分。
   「男らしい」と言われ続け、本心を理解してもらえない――

「嫌……いやだよ」
「ちがいます」
ちよはいつになく強い口調で裸の少女に諭しだした。
「いいですか?榊さんの友達、大阪さんも私も、みんなあなたのことが好きなんです。
 『かわいい』か『かっこいい』か『お母さんみたい』かどれかは分かりませんが、みんな愛しているんです。
 だからこそ友達なんです。どんなことが理由でも、あなたを大切にしたいと思っていれば友達です」
「そうや、榊ちゃん、かっこええし、かわええで」
「だから、自分を嫌いにならないでください。榊さんが欲しいと思っているものは、もっと近くにあるはずです」
「ちよちゃん、よう言うた!」
「あ、ありがとう」
二人の励ましを聞き、少女は心が洗われるように思った。

「ピカニャーは、榊ちゃんのことをちゃんと覚えとると思うで」
「マヤー……そうだと、いいな」
「絶対覚えてます。一生懸命、ひとりでここまで来たんですから」
「けどな、ネコを卒業したことで、また新しくなれると思うんよ。ピカニャーもそう思っとるはずや」
「だから、マヤー……本当に、そう思う。二人とも、ありがとう……それ、で」

一通りの会話を終わらせ、榊は続けた。
「あの……からだ、が」
「なんや、早く言うてえな。ちょっとつらかったんやろ?ほら、ここ」
「い、あぁっ」
「濡れとるで」
人差し指に分泌液を取って舐めとる。
「あ、あの、おおさ」
「しっ!ちよちゃんは黙って見とき!大人になればわかる!」
「はい……」
さすがにまだ指をくわえて彼女らの様を眺めていることしかできないが、それで良いだろう。




705 名前:あぽときしん大王 5[sage]:2007/03/19(月) 11:30:14 ID:bYG2r5g6

「ここもたっぷりあるのに、毛は生えとらんな」
何度も何度も胸のことを口に出す大阪。
乳房の先端をまさぐる指の執拗さに、その真意が表れていた。
「そんなこと、いわ、ないで」
「指、欲しいのん?」
榊はうつ向きながら、黙ってただゆっくりと首を縦に振るほかなかった。
体格差が逆転したことにより、主導権を握る余地は全くなくなっている。
「同じ女の子やからな、気持ちええとこ、ちゃんとわかっとるで」
湿った秘所の小突起に手が絡み、入り口に徐々に二本の指先が入り込む。
「自分で入れたこと、あるんやろ?ちっちゃいのにすぐに入ってまうな」
「あ、ん」
「もっとよくしたる」
大阪の性格もここまで来ると、表裏が激しいと言わざるをえない。
もしくは、彼女独特の心的世界のうち、ほんの一部分なのかもしれない。
「動かすで?」
荒げられた呼吸と声、隆起した乳首や秘核、濡れた恥部、そのすべてが性的興奮を示していた。
榊の温度が伝わる内部で人差し指と中指を前後させ、残りは突起を弄ぶのに使う。
なかなかの技の持ち主である。どこで極めたのだろうか?
「うあっ、春日さん、少し、激し……」
「歩って呼び、ってなぁ。もっと親しくなりたいんやから」
「ひゃ、あゆむ、あゆ、む」
「良くできました。やっぱりかわええな」
「はぁ、ほ……んとう、か」
「ちっちゃいからやないで。榊ちゃんはいつでもかわええよ。心配せんといて」
大阪が普段見せる満面の笑みが戻ってきた。
だが、それとは裏腹に、各指の動きは格段と速くなる。
「とりあえずな、ピカニャーのことは今だけでも忘れておき」
一連の言葉には一切悪意がこもっていない、あるのは懸命な慰めと励ましだけである。
榊も強い快楽の下で言うことを受け入れていた。
「やん、わ、かった……あっ、ゆむ」
もう一度呼ばれる下の名前に、大阪の興奮も高まる。
「ああ!榊ちゃん、ほんまかわええ、かわええよ」
「あり……がとう、うれ……あふ、しい」
言葉とともに返された表情にまた、榊の求めていたものが現出していた。




706 名前:あぽときしん大王 6[sage]:2007/03/19(月) 11:31:24 ID:bYG2r5g6

「もうそろそろ、いきそうやろ」
問いにまた口を閉じた榊だが、顔と全身からあふれ出す体液がすべてを物語っていた。
「いちばん速くしたるからな、もっと声をあげてもええ。
 ついでに、こっちもサービスや」
言ったとおりに手を動かし、さらに小さな口を片胸の先につけて舐めまわす。
「ひゃう、ん!だめ、そこ、おかしくなる」
浅い呼吸に混じる懇願にも、攻めに夢中になった彼女から答えはもう返ってこない。
「だめだ……って、もう、あゆむ、あゆむ!」
その名を二度叫んだ途端、強い痙攣とともに幼くなった榊の体から力が抜ける。
大阪は慌てて、小さな背中を余った手で強く支える。
乳首から口を離し、「榊ちゃんのなか、びくびく震えとるよ」と耳元で囁く。
「そうや。忘れとった」
今度は、胸から相手の口に自分のそれを移して重ねあわせる。
静謐な一瞬が過ぎ去った。

ちよは今の際まで何も語らず、ただじっと情事を見つめていた。
――今日、私が学んだこと。
   榊さんだけじゃなくて、大阪さんもかわいいものが好きだということ。
   大人になると、もっと好きになれるのかな。私はまだ、かっこいいものの方が好きです――

「まだまだや。榊ちゃんの気が休まるまで、相手したる」
「えーと、別にいいんですけど、あれ、返してくれませんか?まだ途中なんです」
「ちょっと待ってえな。私もちっちゃくなって、また一緒にしたいんや」
「大阪さん、戻るのに時間かかりますからね?」
「春休みやしなあ。ちよちゃんの国にはまだ行かんのやろ?」

――そういえば、アメリカに行くんでしたね。ちょっと寂しいです。
   こうして「友達」と触れ合っている間はとっても大切です。
   二人とも、智ちゃんやよみさん、神楽さん、みるちーやゆかちゃん、みんな友達です。
   もうすぐお別れですけど、今はこのちょっとした幸せをかみしめていたいです――

「ちよちゃん、なにぼーっとしとんの?」
「あ、いえ、何でもありません……ちょっとだけ、いいです」
「ありがとな」

変哲のない日常に潜むふとした非日常が特別な思いを育み、互いに強めあう。
その繰り返しが、何よりも大切な絆を生むのだろう。

(終)



小話と言いつつも、かなり長くなってしまいました。

 

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