264 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 22:55:32 ID:/pOa4ywB

「なぁ…榊ぃ」
榊の部屋に入るなり、私は甘えるようにして榊に寄りかかった。
自分としては精一杯の猫撫で声で、榊の肩に頭を乗せる。
「な…何だ?」
榊は少々面食らった顔をして、私を見た。無理もない。私がこんな風に甘えてくるのは今までに
ないのだ。
「…変なものでも食べたんじゃないだろうな…」
むう…。真顔で言い放つのが憎たらしい。
「おい…失礼だぞ。……私だってな…」
自分の指を、榊のそれに絡ませる。ぴくっと榊の体が動いた。
「こういう時もあるんだぜ…?」
榊は今度こそ、その切れ長の目を大きく見開いて驚いてみせた。

今朝、忘れられない夢を見たのだ。
その内容は…まぁその、簡単にいうと榊に抱かれるっていうHな夢だった。
こんな夢を見るのは初めてで、起きてからも自分がまさかそんな夢を見たなんて信じられなかった。
だけど目が覚めてくるにつれて夢の中の出来事が鮮明に思い出されて、恥ずかしいやら照れくさい
やらで布団にしがみついたままベッドの上をしばらく転がりまわった。
思えば最近は部活の練習がハードで榊とキス以上のことをしていなかった気がする。
…認めたくはないけど、これは欲求不満ってやつなのかもしれない。
結局その後は榊のことが頭から離れなくなって何事にも集中できず、黒沢先生に怒鳴られっぱなし
だった午前の部活が終わると、飛ぶようにして榊の家に押しかけたのだ。

そんなわけで今日の私はいつもよりも少し、積極的だった。


 

265 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 22:57:27 ID:/pOa4ywB

「神楽…その、すごく嬉しいよ」
「いや、私もさぁ…この頃忙しくってなかなか時間とれなかったじゃん?だから……な…」
これ以上直接的なことを言うのはさすがに恥ずかしくて、行動に出る。
榊の首にそっと抱きついた。
「…あ、いやでも私……」
榊がちらりと壁にかかった時計を見やった。
「今からちょっと…出かけなきゃいけないんだ…」
「え?…えええっ!?」
せっかくいい雰囲気だったのに。ここまできて、それはないだろ…。
「大した用事でもないんだ。その…智さんにノートを貸す約束してて…そこの公園で待ち合わせて
いる」
智…滝野智、か。その名前を聞いて、馬鹿みたいに大笑いするクラスメートの顔が頭に浮かぶ。
いつもトラブルを巻き起こしてくるが…あんにゃろう。こんなプライベートでも余計な真似しやがって!
「だからもう行かないと。用を済ましたら、すぐ帰ってくるから。ね?」
どうにも釈然としない。したくない。でも、榊は私の手を外し、立ち上がる。
榊が私に背を向けたとき、思わず榊の上着を掴んでいた。
「…行かないでよ」
「そんなこと言われても…困る」
「私を一人にするのかよ?」
そう言って口をとがらしてみせると、榊は曖昧に笑顔を作ってみせた。
我がままなんだってことは十分に承知だ。それでも今日はどうしても自分の気持ちを押さえ込むこと
ができなかった。

「神楽…」
私の頬に両の手を優しく添えて、榊が顔を近づけてきた。
「目、閉じて?」
「う、うん」
期待に胸をときめかせて言う通りにした。が、いつまで経っても口付けは降ってはこない。
不審に思って目を開けると、榊が鞄を持ったまま音を立てずにドアノブを回している姿があった。
「さ、榊!!ずるいぞ!騙したな!」
「ホントにすぐ帰ってくるから。それまでいい子にして待ってるんだぞ?」
「〜〜〜っ…榊のば〜か!!!」
身を乗り出して大声で叫ぶと、榊は逃げるようにして部屋を飛び出していった。


 

266 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:00:03 ID:/pOa4ywB

ちくしょう!ちくしょう!何がいい子にしてね、だ。子供扱いしやがって!!
榊がいない榊の部屋のベッドの上で、ぼすぼすと枕を殴りつけた。
全く私の気持ちも知らないで、嘘まで吐いて、あげくに置き去りにするなんて何て奴だ。
何かこの怒りを紛らわすものはないかと辺りをキョロキョロと見回すと、机の上のノートが目に
ついた。覗き込んでみると、英語の教科書と共に、ノートには何やらびっしりと英文が書き込まれて
ある。どうやら私が来る前に勉強をしていたらしい。
「よ〜し…」
にやりと笑って椅子に座り、隣のページに落書きしてやった。とりあえず変な生き物(ネコ?)を描いた。
吹き出しに台詞も入れてみる。B・A・K・A・S・A・K・A・K・I、…っと。
くく…我ながら傑作だ、榊の驚く顔が目に浮かぶ。
悪ノリしてきた私は筆箱からマジックを取り出して、榊のベッドに置かれてるねここねこのぬいぐる
みを手に取った。
「前から思ってたけど、眉毛があった方がお前カッコイイぞ?」
さすがにこれはいけないかな〜、なんて思ったが止めてキュキュッと凛々しい太眉を塗ってやった。
「うん、決まったぜ!」
わははっ!と一人、ベッドの上で笑ってみる。だって、悪戯って楽しいもんだろ?
あとあと怒られることを考えないのが悪戯を満喫するコツだ。
ひとしきり大笑いして、私はベッドに倒れ込んだ。


 

267 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:02:47 ID:/pOa4ywB

「ふぅ…」
ベッドに沈み込むと何だか急に、どっと疲れが押し寄せてきた。
この部屋には漫画もゲームもないのだし、もうこのまま寝てしまおうと、目を閉じる。
すると嗅覚が冴えてきて、微かだけどシャンプーの良い匂いがしてきた。
「…榊の匂い…?」
榊がいつも使っている枕からだ。
目を閉じているからまるですぐ隣に榊がいるみたい。手を伸ばせば榊のよく手入れされた
綺麗な黒髪に届きそうな気がする。
だけど伸ばされた手に触れるものは何も無く、目を開けてみても誰もいなかった。
無性に恋しくなってきて枕をぎゅっと抱きしめる。
そのまま顔をくっつけるとよりいっそう榊の匂いが感じてとれた。
…うん、こうしていると本当に榊を抱きしめてるみたいだ。

初めこそそれで気分も落ち着いてきたけれど、時間が経つ度にそれだけではもう満足が
できなくなってきた。
やっぱり枕は枕であって、私に何もしてくれない。寂しさが募ってくる。
「本物の榊が欲しいよ…」
声に出して呟いた。今日の夢が思い出される。
これじゃあ今朝の私の繰り返しだ。夢に触発されてベッドの上で榊を求めている。
榊の部屋にいても、本人がいなければ何も意味がないじゃないか。


 

268 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:05:07 ID:/pOa4ywB

「…」
下から妙に冷たい感触がする。そっと下着に触れてみると思ったとおり濡れてしまっていた。
榊のことを考えていたら、こうなってしまったらしい。
「…どうしよう」
このまま濡れた下着を穿き続けるのも気持ちが悪い。だけど他人の部屋で一人、下着を脱ぐのも
ためらいがある。そもそも榊が帰ってきたら…何て言い訳する?
「…いや」
大体、榊が悪いんだ。私がこんなにしてるのも、榊が私を置いて行くから…。
半ば開き直った私は思い切って下着を脱ぎ捨てた。
冷房が効いているために、ひんやりとした外気に直接肌がさらされるのは何とも気持ちが良い。
脱いだだけでこれだけ気持ち良いのなら、それ以上の事をしたらどうなるのだろう。
好奇心にかられて自分で下半身を撫でてみると、さらにぞくりとした快感が伝わってきた。
だけどそれ以上どうしていいかよく分からなくて、指の腹でなぞりながら榊がいつもどうしてくれた
かを思い出し、つたないながらも真似てみようとした。
自分で触るのはこれが初めてで、ましてそれが榊の部屋で自慰行為をしているなんて、いけない
ことをしているようで罪悪感も感じるのだけど、それが逆に気持ちを高めてしまって指の動きが
止められない。
指に温かな液体が纏わりついてきて、私の動きも少しずつスムーズになってきた。
目を閉じて、榊の匂いに包まれて指を上下に動かしてみると本当に榊にしてもらっているような
気がする。
「ふぅ…く…んん…」
くぐもっていた声も抑えきれなくなり、ぴちゃぴちゃという水音が部屋に響いていて、すごくHだ。


 

269 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:08:55 ID:/pOa4ywB

うっすらと目を開けると、窓際にハンガーで吊るされた榊の制服が視界に入った。
「………」
もっともっと榊を感じさせてくれるものが、何でもいいから欲しかった。
そうすることで、一人で慰めている寂しさを埋め合わせたかったのかもしれない。
我慢できずにその制服を手にとって胸にかきよせる。
こうしているだけで胸が熱くなって頭がぼうっとなった。
榊の制服に頬をよせると洗い立てのさらっとした布の質感がとても心地いい。
左手で制服を胸に密着させたまま、右手で指の動きを再開した。
「う…く……はむ…」
声を抑え込もうと榊の制服の肩口を噛んだ。
気持ちが良すぎて腰が浮いてしまう。はしたない格好だなんて気にする余裕もなかった。
足の指に力が入って、もうこのまま一人でイってしまいそう。
そう思ったとき、無意識に榊の名を呼んでいた。

「…さ、かきぃ…」

「なぁに?」

「ふぇ!?」
びっくりして声のした方を振り返ると榊が戸口に背中を預けて立っていた。
私の口からぽろっと、くわえていた榊の制服が落ちた。


 

270 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:12:05 ID:/pOa4ywB

「ただいま。…呼んだか?」
「…榊…いつから…そこに…?」
榊はおどけるように肩をすくめてみせた。鞄を机の横に置いて、そして気づく。
「神楽をあまり待たせないように、急いで帰ってきたんだが……驚いたな」
そうして私のいるベッドの方に目を向け、歩み寄ってくる。汗が一気に噴出した。
榊の表情は笑っても、怒ってもいない。
「時間を潰してくれとは言ったけど…まさかそんなことしてるなんて…」
「さ…榊…私は……」
すっと榊の長い人差し指が、私の唇に当てられた。
いつの間にやら手に持っていた英語のノートをぱさりと目の前のテーブルに置く。
「ノートの絵は君が描いたのか?」
「…暇を潰せって言われたから…」
「このぬいぐるみの眉毛も、暇つぶしで?」
「そ、そうだよ」
「…それじゃあ、ベッドのこの染みは?制服をしわくちゃにしたのは?」
「あう…」
「暇潰しにしては…やりすぎたよね」
穏やかな口調で話しかけながら、榊はゆったりとした動作で私のすぐ隣に腰をかけた。
「でも、一番いけないのは自分一人だけで楽しんでたことだ。…どうして待ってくれなかった?」
「…だって…」
「神楽は悪い子だな」
「……ごめんなさい」
「うん…。でもこれだけやったのだから謝るだけじゃ、すまない」
「え?」
「いけない子って何をされるか知ってるか?」
榊の口の端が上がった。空気がずんと重くなった、気がした。
「お仕置きされるんだよ…」
どこか獰猛な肉食獣を思わせる榊の瞳の鋭い光に、私は息を呑み、覚悟した。



 

271 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:15:20 ID:/pOa4ywB

「もうこんなに濡れてるじゃないか」
開かされた膝の下から、榊の楽しそうな声が聞こえてくる。
ふっと吹きかけられる息にも身体が反応してしまい、秘部から新たに体液が溢れた。
「こら、またベッドを汚してる」
「そ…そんなこと言っても……はあっ!」
突然、榊の舌が這わされた。濡れた表面を丹念に拭われ、敏感な突起を口に含まれる。
一人でするときとは比べ物にならない快感に、意識が吹っ飛びそうになる。
そのまま執拗なまでに舌で舐めまわされ、えぐられ、弄ばされて体全体ががくがくと震えた。
「かは…あ…ああぁ……」
もうすぐ頂点に達しそう、そう思ったとき、榊は舌の動きを止めて顔を離した。

「ここからは自分でするんだ」
「…う、うそ……やだ…できない、よ…」
「さっきはしてたろ?それに…これはお仕置きなんだから、楽しまれても困る」
あと少しのとこで止められて頭は錯乱状態。涙をぽろぽろ流していくら榊に許しを求めても、
榊は決して触れようとはしてくれない。
そんなことをしている間にも快感の波が引いていってしまう。
「…いくら…何でも、ひどいよ……」
どうしようもなくて自分の秘部に手を伸ばしてゆっくりと動かした。
こんなとこを榊に見られて恥ずかしくてたまらないのだが、先程からの行為で体の方はすっかり
できあがっていてすぐに大きな快感が戻り、私の頭を支配する。

 

272 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:20:24 ID:/pOa4ywB

「ふっ…は、ああ、あっ…はあ…」
熱い息が漏れて、一人で快楽の世界に浸りきる。
そんな私とは対照的に、榊は冷めた口調で声をかけた。
「やっぱり…神楽は一人でも気持ちよくなれるんだ」
「…え?」
「なら、これからは私がいなくても大丈夫だよね」
突き放すような言い方に、全身の血が凍りつく気がした。
「そ、そんな…!冗談、でしょ?榊…」
「…さぁ、続けたら?もうすぐ…イきそうなんだろ?」
榊が顔を背けた。底なしの穴に落とされたような恐怖。
気がつくとすっかり動転した私は泣き叫びながら榊にすがりついていた。
「う…あぁ…さ、さかきぃ…もうゆるしてぇ!私が悪かったよぉ!もう一人でなんてしない!
いやぁ!…っく……うぅ…榊じゃなきゃ…榊がしてくれないとやだ…ひっく、榊が……榊…」
そうして泣きじゃくっていると、頭にぽんと手を置かれた。
見上げると、榊と目が合う。榊の目はもう優しい光を帯びていた。
「…今の言葉、本当?」
榊が肩に手をまわしてきた。榊の胸にすがりつくようにもたれかかり、必死で首を縦に振る。
「じゃあお仕置きはこれでおしまい」
そう言って榊は私の動きに合わせるようにして指を中へ挿し入れた。
欲しかったものが手に入り、安心感でまた目が潤む。
「…んっ…や、やっぱり……」
榊の首を抱いて、耳元で囁いた。
「榊が、一番いい。好き…」
「ありがとう。私も…」
神楽が好きよ、と熱っぽく囁いて、榊は私にキスをした。そしてそのまま激しく指を動かしてきた。
大きな嬌声も塞ぐようにして合わされた唇によって榊の中に吸い込まれる。
「…んんっ!!」

最後にはようやく、榊の手によって果てた。


 

273 名前:いけない子には何をする?[sage] :2005/11/09(水) 23:23:28 ID:/pOa4ywB

朦朧とした頭で目を開けた。
榊がうっとりとした表情で私の体液のついた指先を眺めていた。
私の視線に気づくと、微笑んでその濡れた指一本一本を舌で掬い取っていく。
あまりにも扇情的な光景に、我を忘れて見入ってしまう。
「神楽も舐めてみるか?」
無言で頷く。
「お仕置きを我慢できたご褒美だよ」
榊が私の口の中に指を差し入れた。榊がしたように指の股まで丁寧に舌を這わせていると、頭を
優しく撫でられる。くすぐったいような甘い痺れが心を満たし、目を細めた。


夢心地の意識の中、こんなに美味しいご褒美が貰えるなら、悪戯をしてまたお仕置きされるのも
そんなに悪くはないかも、と思った。

…まったく、私も懲りないなぁ。

(終)
 

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