787 名無しさん@ピンキー sage 2011/07/21(木) 00:46:39.24 ID:sboz/wQg

 >>785 即興でやってみる。たまには榊や神楽、木村以外で。

 いよいよ受験も近づき、各自(一部例外を除き)その勉強で忙しくなっている最中―
 一人、教室の隅で物思いにふける男子生徒が1名。
 ゆかり先生担任の1年生の頃のクラスで、学級委員長を務めたひょろメガネ…大山である。
 「……はぁ」
 「ん?―」
 大きなため息をつく、そんな普段の大山からは想像できない光景を
間近で目の当たりにしたよみは、思わず吹いていた。
 「な、何?ため息なんかついて?何か悩みでもあるの?」
 「そんなに俺がため息つくのが可笑しいかよ…」
 「だって…(あの)大山くんがねぇ…」
 まだ笑いが収まらず、再度吹き出しそうになるのを、口元をピクつかせながら必死に堪えるよみ。
 「で、悩みでもあるの?」
 「全く無きゃ、人じゃないよ」
 「受験?」
 「まあ…それもあるけど…」
 よみが笑いの谷をようやく乗り越えて、真面目な態度に戻り、大山と向かい合い、ため息の理由を訪ねる。
 「へぇ、意外。あんたって成績いいし、そんな事で何一つ悩みは無いと思ってたけど」
 「あのな…人をどっかのマンガの出来杉みたいに言うなよ」


788 名無しさん@ピンキー sage 2011/07/21(木) 01:10:51.70 ID:sboz/wQg

 「それもある、と言ったんだ。本当のな―っと、あっぶね〜」
 「ちっ」
 思わず口が滑り、本命の悩みをいいかけて止まり、安堵する大山。舌打ちするよみ。
 「…ちっ、て」
 「ま、何にせよ、男なら悩んでないで行動あるのみ、なんじゃない?」
 (だから、その行動に移し難い悩みなんだけど…まさか内容は言えないしなぁ)
 「行動あるのみ、ね…」
 「そうそう」
 よみは得意気に人指し指を突き立てる。
 「じゃ―」
 「何?」
 「俺と付き合ってくれ、水原」
 世界の時間が止まった。
 勿論、実際ありえない。
 だが、今この教室の時間と空間だけは、確実に凍りついた―
 実質にして5秒後。
 「…冗談、でしょ?」
 なんとか平静を保ち答えるよみ。
 「冗談で言うセリフに聞こえたなら、今度は教室全体の周りの奴等全員に
聞こえるくらい、デカい声で言うが?」
 「わ、わかった!やめろ!冗談じゃないんだな?!」
 「イヤならイヤで、この場で断ってくれ。それで諦める」
 「う…う〜ん」
 普段の大山からは、想像もつかない気迫によみは狼狽した。 (こんなに強気に出てくるなんて…)
 冷やかし半分に悩み事を暴露させようとした事を、よみは後悔した。

789 名無しさん@ピンキー sage 2011/07/21(木) 01:44:03.85 ID:sboz/wQg

 「わかったわ…いいわよ」
 「え?!いいのか?」
 「何よ、そっちから迫ってきて驚く事はないでしょ?」
 「あ、いや…」
 大山の方も、告白したはいいものの、80%以上返り討ち確実、
と思っていただけに、返事に頷くよみの姿は、全く想像していなかった。
 (…仕方ない、話せる所までは話す、か)
 「え〜、う〜ん…何て言えばいいやら…」
 「で、結局あなたの悩みは私に告白するかどうか、だけだったの?」
 「…ある意味じゃ、そうなるのかな?」
 「?」
 大山しばらく黙りこみ、大きく息を吸い込んでふぅ〜と吐き出し、その後よみの耳元で囁く様に言った。
 「ヤりたい」
 宙に浮く大山。
 もちろん、よみの伝家宝刀、アッパーカットが炸裂したからに他ならない。
 「遺言なら、後一言くらい聞いてあげるわ…」
 「っつつ…だいたい俺の悩みを聞いてきたのはそっちだろ…」
 「そんな愚劣極まりない悩みだと分かっていたら、速攻断ってたわ!」
 「愚劣、か…」
 大山はよろよろと立ち上がり、自嘲気味に笑う。
 そしてよみに向かい言う。
 「じゃあよみ、お前はこれから自分を好きだ、と本気で言ってくれる人に、一生身体を許さないでいる気か?」

790 名無しさん@ピンキー sage 2011/07/21(木) 02:17:18.13 ID:sboz/wQg

 「一生…ずっと…」
 「ああ、ハッキリわかりやすく悩みを言わなかった俺も悪いとは思うが、
道徳や常識の面から言いづらいから、それも悩んでたんだ…」
 「よ、要するに私とせ…せ―」 「セックスしたい、と思った」
 大山はもうふっ切れていた。
 「今まで、確かに学校の勉学面じゃずっと成績優秀できたさ。でも、最近―」
 周りの楽しそうな連中を見て。
 街を行き交う人々を見てて。
 「不安になってた。この道の先に何があるのか、わからなくなって―」
 「分からなくなって…そして、何でソコに私が出てくるわけ?」 「…ずっと、憧れてた」
 「え?」
 「背丈、声、髪、しぐさ…自分の描いた、理想の女の子像だったんだ」
 「私が?…あなたの?」
 「―だから、そんな女の子と付き合ったり、デートやそれ以上の事ができたら…
何か、変われそうな、そんな気がしたんだよ」
 「………」
 「今更隠さない。付き合いたいと思った動機、理由自体は自分でも確かに不純だと思う。
でも、俺はよみが好きだ。だから、付き合いたいし、する事もちゃんとしたい」
 「私は…」
 「返事は急がないよ」
 「え?」
 大山はよみの戸惑いを理解していた。
 今の自分の要求に、素直に応じる事の意味に対する怯えも―
 「もし受け入れてくれるなら、後で俺ん家にでも来てくれよ」

791 名無しさん@ピンキー sage 2011/07/21(木) 02:55:23.04 ID:sboz/wQg

 あれから3日後の大山宅。

 ピンポーン。
 「は〜い、今行きま…」
 自宅の玄関先に。
 私服姿のよみがいた。
 「…あ、あの、おじゃまします」
 「あ、ああ…」
 二人はたいした打ち合わせもなく、すんなり大山の個室部屋へ入る。
 「私も、ここまで来たから隠さない。やってみても…いいと思ったから」
 「そう、か…」
 覚悟はしている様だが、よみの顔はかなり赤い。
 しかしそれは、自分もきっと同じだったろうと、大山は確信していた。
 (恥ずかしい事をするんだ、と言ってるみたいなモンだし…)
 何よりも先ず、気持ちはもう同調していると言う確信があったから。
 やがて、よみは上着を脱ぎ始める。
 服を脱ぐ瞬間に散らばる長い髪、徐々に露になる柔肌―
 その仕草、身体すべてに大山の目は釘付けだった。
 よみが下着のみの姿になるのに、結果的には30秒かからないくらいで終わっていた。
 だが、大山が感じた時間の長さの間隔は、その比ではなかった。
 「何かが変わるか、試そう?」
 「…ああ、きっと―」
 大山は、爆発しそうな鼓動をグッと堪えて、優しくよみに抱きついた。
 (変わる、変われる―以前の自分じゃない、何かに―)

792 名無しさん@ピンキー sage 2011/07/21(木) 03:25:42.92 ID:sboz/wQg

 よみも大山も、多少なりとも通り一辺の知識はあったので、とりあえずは
ゴム付きで合意してその行為に及んでいた。
 「ん…」
 拙いキス。
 決して巧いとは言えないタッチも、今の二人には上々の媚薬だった。
 「やっぱり…乳首って起つんだ」
 「…あ、あんまりジロジロ見ないでよ…ん、あ…」
 「じゃあ見ないで揉む」
 「う、そう言う事じゃ…な、」
 よみは乳房を乱雑に揉まれ、顔を苦痛に歪めるも、荒い吐息、艶かしい喘ぎが、苦悶の表情を上書きする。
 「…あ、むぅうう」
 その喘ぎの口を、大山ががっぽりと舌を入れて塞ぐ。
 「もう、俺も…限界かも…」
 瞬間、よみの顔に緊張が走る。
 (げ、限界?―それって?!)
 「あッ!あ!」
 大山の最大まで膨れあがった肉の棒は、よみのお尻の真ん中の穴を貫いていた。
 そして、その勢いを失うまいと、大山は激しく腰を動かした。
 よみも、もうそれを避ける事もせず、止めようとも思わなかった。
 (誰が、誰を好きなのか―それを確かめる行為…)
 「私も―」
 立ったまま、ガクガク震える腰をひたすらそのままに、よみは意識がとぶ前に、何とか大山の耳元に伝えた。
 「―す、好き…大山…くっ、んんんんっ!あッ、あぁあああぁぁあああッ!」

793 名無しさん@ピンキー sage 2011/07/21(木) 04:09:52.25 ID:sboz/wQg

 弛緩したよみの股間から、ドロリとした液が溢れた。
 「う、はぁ…」
 「…はぁはぁ…」
 二人は立ったままではいられなかったので、床に横たわっていた。
 しばらくの間、意識のとんでいたよみのその表情は、とても満足そうな、穏やかさに溢れていた。
 「…よみ?」
 「…」
 やがて―
 「…何か、変わった?大山君?」
 「え?」
 「自分で言ってたじゃない、私とヤれば、人生観変わるかも、みたいな事」
 よみが唐突に聞いてきたので、大山は瞬時には即答できなかった。
 「…ああ、変わった、気がする」
 「何よそれ…」
 「そんなに怒るなよ。第一、今すぐ変わった!なんて証明のしようがないだろ…」

 「私は…変わったわね」
 「へぇ?実感するんだ?」
 「何言ってんの、あんたのお陰だってのに」

 (打算や損得感情を抜きに、人と向かい合ってみたい、他人の本音にぶつかりたい、
と思ったのは、多分これが初めてだと思った―)

 その後、二人は着替え、よみは大山宅を出て、帰宅した。

 「また、来ていい?…」
 「…ああ、いいよ」

 しかしその翌日―

 大山は自殺した。
 遺書と思われる封書に、本人が書いたと思われる文を残して。
 「悔いはない。もう、彼女に伝えるべき事は伝えきってしまったから。
 僕はもう変われなかったから」
       完

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