696 名無しさん@ピンキー New! 2008/09/28(日) 20:45:27 ID:YWqLdGbF
一息つかせるべきだったのだが、何度も高みに達する神楽が可愛すぎて、制止の言葉にも耳を傾けず……いや、正直に言おう、涙ながらの制止がかえって情欲の炎に油となって注ぎ込まれ、燃えたというか萌えたというか。ともかく、その、アレすぎた。
世界中の男が、自分のしでかしたことを認めてくれる自信はあるのだが、目の前の彼女を納得させる自信は絶対的に皆無。
それに、世界中の男よりも目の前の彼女の方が、天秤に掛けるまでもなく大事なわけで。
「……いえ、そんなことはないデス」
だから丁寧語で返すしかない。
「だよなあ」
主導権を握った神楽は、ニヤニヤ笑いながら、掛け布団の下にずぶずぶ潜り込んでいく。依然、股間の主導権も握ったままだ。
……まさか。
「ちょっと、待っ」
言い終わるより先に、柔らかい感触に挟まれ、先端にぬめりが走る。思わずうめいて背筋を反らした。
いや、ホント、まずい。無様な声を上げずにいるので精一杯だ。
布団をめくると、やっぱり神楽は豊かな双丘でこすりながらくわえている。その攻撃に一番弱いのを知っててやっているのだ。
照れが入っているのか顔が紅いが、俺がそれ以上に羞恥に耐えてるていなので、やり続けられるのだ。
……以前ははとてつもなく恥ずかしがって、土下座してまで頼み込んでようやくしてもらった行為だが、今となっては神楽の必殺技だ。あまりに気持ちよすぎて何にもできなくなってしまうのだ。
柔らかに強すぎず弱すぎず、絶妙な圧力で幹の部分を包み、撫でる。上下のリズムが、亀頭を含んだ口に連動し、カリの部分が唇で擦られる。舌先が先端部分の割れ目に差し入り、クリクリとえぐった。
「か、かぐ、ハッ!」
つま先立ちになった両足の爪がシーツを引っ掻くも、神楽はやめてくれない。脊髄に快楽の電撃が走って、そのまま暴発しそうになる。
本来この行為は男性諸君の憧れである反面、それほど快感をもたらすものではないらしいが、自分の名誉のために言っておくと、別に早漏だからこんな醜態をさらしているわけではない。本当だ。
もともと神楽は大きな胸にコンプレックスを持っている。そのことでからかうと顔を真っ赤にして怒る。それだけの羞恥の対象を、淫乱極まりなく用いて男性自身に奉仕しているという構図が何ともッ…………いや、自分は変態ではない。本当だ。
肉体的にだけでなく、精神的にも快楽を与えてくることに、男性ならば何人たりとも耐えうるものではないことを声高に主張したいのだ。納得していただけただろうか。
「ん、んふっ、んっ」
熱のこもった息づかいと、ピチャピチャという汁気のある音をわざと聞かせるようにしながら、神楽は攻めてくる。
健康的な褐色の顔と対照的な焼け残った白い胸に、自分の赤黒い剛直が包まれ、同色のぬめった舌に舐められている。倒錯した美意識による一つの絵画たりうる光景だ。
いたずら好きな猫の瞳で見上げながら、神楽は行為を変化させつつ続ける。ちゅっちゅ、と小さな口づけを繰り返したり、腹に熱い吐息を掛けながら乳房を大きく上下させたり。
せっぱつまった感覚が腰を昇ってきた。大きい。流石に今度のは耐えられそうにない。
「で、出るっ、神楽っ!」
腰を痙攣させて放出、には至らなかった。
神楽は絶頂寸前のモノから口も身体も離してしまったのだ。理不尽にせき止められた快楽が行き場を失って、身体の中を荒れ狂う。
意味不明のうめきと共に無様に身悶える姿を、神楽は相変わらずの笑みで見下ろしている。ドSだ、こいつドSだ。
「昨日のお返しだ」
やっぱり根に持ってたか。
「それに」
勃起した中心部を握って、再び身を寄せる。
「一人で楽しんでるってのもズルイだろ?」
一方的に責めておいて、一方的な論理展開。傍若無人もいいとこだが、反論する余裕は一切ない。今はとにかく早々にこの荒ぶる龍神をお鎮めいただきたい。
こちらの祈祷が通じたわけでもないだろうが、こちらの亀頭を神楽は撫でさする。粘液まみれの表面を愛撫されて、快感が再び高まってくる。
「よっと」
鍛えられてしなやかな足が胴体をまたぎ、空いている手が頭の横に突く。ぺろりと舌が唇を濡らし、
「いれるぜ」
そう宣言する。
願ったり叶ったりだが……「いいのか?」と聞いて、手を神楽の足の間に持っていく。
中指で場所を確かめ、人差し指をそろえて恐る恐る差し込むと、卑猥な水音を立てて、すんなりと奥まで入った。溶けるような感触。ぬめる熱さ。すっかりできあがっている。
こっちからは何にもしてないのに、これ? 攻めていただけなのに? こいつ、やっぱり、ザ・ドSだ。
お手上げ、といった感じで手を離すと、神楽は白い歯を見せて腰を沈めてきた。
声を上げたのはどちらだったか、あるいはお互いに上げたのかもしれない。抵抗は一瞬のみで、一気に奥まで食い込んだ。
突いた手が首の後ろに回され、神楽が覆い被さってくる。大きな胸の弾力がこちらの胸板を押し返してきたが、それでもなお密着しようと強く抱きしめてくる。
こちらも腕を神楽の背中に回し、応えてやる。いや、自分の気持ちにも従っている。人前で抱き合うことはできないからな、普段の生活の中でも。せめてこの時ぐらいは。
耳の端を噛むと、腰を挟んだ太ももにぎゅっと締まる。続けて、頬やうなじ、あご下などにキスの雨を降らせていると、股が上下し始めた。
その動きが大きくなるたび、腰までとろけるような快感に襲われる。
神楽の律動に、こちらのも合わせていくと、快感とそれに伴って漏れる声がより大きくなってゆく。
神楽の熱くぬめるひだ、その一枚一枚がからみついてくる。自分の竿に浮き出た血管にさえもみっちりと隙間なく吸い付いて、さらなる密着を求めてくる。
出入の度に湧出する愛液はシーツを濡らすだけでなく、からみ合う陰毛にも注がれる。あたかも熱帯雨林に降るスコールのように。
淫靡な熱気が甘美な湿気と共に、自分と神楽の領域を覆う。二人だけの世界だ。
「神楽っ」
感極まって、神楽の尻肉をつかむ。水泳で鍛えられた丸みは、引き締まりながらも豊かだ。指の間から肉がはみ出すくらいに強く握りしめ、小刻みに腰を叩きつけた。
最奥を小突かれて、膣内は嬌声を漏らさんばかりにうねるが、子宮口はしっかりと亀頭を食い締めてクライマックスを望んでいた。
神楽の口から一段高いトーンが飛び出す。同時にギュッと全体が締め付けられた。走り抜ける快楽。
そして、今度こそ自分の欲望は止まることなく、その全てを神楽の中に吐き出していた。
…………。
……全てが搾り取られたような脱力感が、荒い息づかいが徐々に収まるにつれて、身体に浸透してきた。
「んじゃ、シャワー浴びるわ」
バッと身を起こし、神楽は立ち上がる。あまりの爽やかさにあっけにとられる間もなく、健全な空気が無遠慮に肌を撫で、余韻をさっさと払い去る。
「もっとゆっくりしてればいいのに」
どっちが女だかわからないほど女々しくつぶやくと、「こっちは朝から忙しいんだよ」と一切の疲れを感じさせない快活な声が、背中越しに投げつけられる。
遠ざかる尻が壁の向こうに隠れるのを見届けないまま、頭を枕に預け、布団を掛け直した。残り香が先ほどの一戦が事実であることを証明してくれる。一応、夢の中では抱き合えるようだ。
バスルームから威勢のいい水音と共に、神楽の鼻歌が聞こえてくる。
まあ、幸せなんだろうな。
などと思いながら、意識は深く沈んでいった。
どっとはらい