榊は少しばかり、いきなり二人っきりで会いたい、と電話をした場合のシミュレーションを想像し、
最悪、便所に乗り込んで来そうな悪寒を感じて、場所はこちら側から指定した方が懸命であろうと考えた。
(…知り合いが滅多に来ず、かつ二人っきりになれる様な空間―)
「あ!」
それは瞬間の閃き。
自宅―
無論、両親と一緒に暮らしてはいるが、父母が四六時中いつも家にいる訳ではない。
父は、昼は当然会社勤めで不在、母も買い出しに出掛ける瞬間がある―
(あるいはホテル代を木村に立て替えてもらって、そこで…いや待て)
それは、明らかな貸しを木村に作り、弱味を握られる事をも意味していた。
(リスクが無いとは言えないが、無料で事に及べる空間は、案外この自宅は盲点かもしれない)
父が帰宅前で、母が買い出しにでる瞬間。それはおそらく時間にして、約1時間あるか無いか―
「…よし」
榊は意を決して、職員室の番号へ電話をかけた。
「はい、こちら〇〇校、職員室の黒―あ、榊?…え、木村先生?ええ、今いるわ。変わる?…はい」
「もしもし、木村です」
午後4:55―
榊は、今までの家族の生活行動スケジュールを綿密に思い描き、幾つかのパターンをシミュレートし、
一番無難に両親不在中でやり過ごせるであろう時間を、ここと定めた。
(ここから約1時間くらいは―)
ピンポーン
(…よし!呼び鈴に母親の反応なし、と)
木村には先の電話で、来訪した時、私の母か、万が一父に鉢合わせたら、適当に
古文の問題集のプリントや、学校行事案内の類いの印刷物を適当に手渡して、そのまま引き返す様に言ってあった。
(そして私が後から顔出して、忘れ物を届けてもらった、的に場を納める手筈―)
「やあ、君のお母さんはいないみたいだね」
「…はい、予定なら後1時間は帰って来ないハズです」
「ふむ、あんまり時間に余裕はない、と」
「ええ―でも一旦私の部屋の中に入ってくれれば、多少は誤魔化せます…」
(簡素ながら一応鍵も付いてるし、もし来られても、すぐに開けたりは出来ない…)
「靴は持参して、最後は窓から出る、だったね?」
「先生に悪いとは思うんですが…他にいい案が浮かばなくて」
「残念賞ー!」
「わ!ダメ!大きな声は!―」
「おっと、しまった」
木村は榊と短いキスを交わし、次に榊が私服を脱ぐのを待つ。
上着、靴下、ブラ―
榊は手際よく、さりとて雑、と言う感じではなく、丁寧に衣服を脱いでいく。
木村はその榊の動作にしばし見惚れていた。
(やはり、いい…実に)
時折、やや挑発的な目線で榊が木村を見る。
その眼光には、一介の女子高生の域を遥かに凌ぐ、妖しさが宿っていた。
「…先生、今、私すごく緊張して―」
「素晴らしい…」
「わ、私が…ですか?」
上半身裸の榊が、戸惑いながら木村に訪ねる。
(これだけの身体、風貌を兼ね備えて、しかもその魅力に本人が自覚なしときた―!)
「榊くんが自身の素晴らしさに無自覚なのは、故にその魅力を引き立てているせいもあるのかも知れないな」
「む、無自覚だから、私が素晴らしくなっている、と?」
「…ああ、オゴる者ほど得てして醜くなりやすい」
木村は榊のむき出しになった榊の両乳房を、少し荒々しく回し揉み、
乳首でその感度を確かめた。
「だが!」
そして榊をベッドに押し倒し、上から覆い被さる様にのし掛かり、
「本当の一流は、やはり自身を御する事ができなければね…」
榊の下の下着を脱がせた。
かくして全裸となった榊は、自宅のベッドの上と言う、これ以上無い逃げ場のない場所で、
木村に性交を迫られた。
「べ、別に、一流とか目指してるわけじゃ…」
「しかし、興味をもってしまった」
「うっ…」
榊は反論できない。
木村はここぞとばかりに、榊の身体をなめ回す。
榊は全身を這う舌の感触に、悪寒を感じつつ、それと明らかに違う、期待にも似た感情をも高めていた。
「さあ、今度は君の番だ」
「え…」
「さあ、少し身体を起こして―って、と」
半身を起こした榊の目の前にそそり立つ、木村の息子塔。
「これを、その乳房で挟んで、揉んでみなさい」
「……こう?」
木村はうおお!と、悲鳴とも歓声ともつかぬ声をあげる。
「いいッ!実にいい!!」
「わっ!…」
そして、その塔の頂上から吹き出た白いモノが、榊の顔面に付着した。
「おや、コレは失礼した…」
しばし放心状態の榊だったが、やがて―
「先生…それを、しゃ、しゃぶってもいいですか?」
木村は、まだ反り返ったままの塔を、また榊の目の前、真っ正面にもって行った。
「では、どうぞ」
「なるだけ唾を出し、音を立ててやると、とても雰囲気がでる」
じゅ…じゅるる…
「む、ん―」
榊が目を閉じ、一心不乱にフェラチオを始める。
先端をナメる程度の時は首を軽く振り、飲み込むほど入れた時はしっかり首を固定し、重く動かし、
その強弱で木村の塔を攻めた。
(やっぱり…大きい…)
口一杯に膨らむ塔は、もうはち切れんばかりの勢いだった。
「う、うおおぉ!…う!」
「ッ!!―ンごほッ、ごは!」
不意に出た精液に、榊はムセた。
「いや、すまんね」
「…せ、先生…もう、私…」
「うん、もうこれ以上予備運動はいらないでしょう」
木村は榊の口で育った息子の塔を、榊の股間を押し開き、正面からそれを挿入した。
事前の行為の賜物か、榊の股間には、決壊直前のダム湖の如く滴るものがあり、
挿入は極めて自然、この上なくスムーズに行われた。
「あっ…ああぁぁあ…」
「ふぅむ、なかなか適度でいいですよ、榊くん」
そこから、リズミカルなピストンが始まり、二人の本格的な性交が始まっていった―
榊は、最初こそ木村のペースに圧倒され、失神するくらいの勢いに翻弄されながら、
徐々に木村のペースに追い付く自分を見いだして来ていた。
(あれ…なんだろう、まだ…)
だが、決して余裕があるのでもない。
「あ、あっ!はッ!」
「榊、榊くんッ!君は!」
ごりごり自身の子宮内に押し当てられた木村の息子は、榊を性の極地へと、あと一歩の所へ追い詰める。
しかしその後一歩が、少しづつ遠ざかり、木村がその違和感に気づく。
「君は―」
「せ、先生…まだまだ、私、やれます…」
(…どこまでいけるか、わからないけど…)
「では私もとことん、付き合おう!」
ベッドの上で寝技をかけあうが如く、二人はジタバタと動き、互いに昂る。
木村はいつになく積極的な榊に戸惑いつつも、股間で繋がりを感じる間は、決して離れまいと
榊を強く抱き締める。
「うあっ、あぁッッ!!」
榊の全身に痙攣が走る。
(あ、イっ…イクッ!これ、イッ―)
木村の手が、榊の頭を優しく撫でる。
そしてその流れる様な綺麗な黒髪が、榊の顔を覆い隠す。
「後一歩、でした…」
榊は木村の中出しを許し、ビクン!と身体を振るわせ、意識を無くした―