854 Memoir sage 2010/07/01(木) 04:56:30 ID:JiwQnlmF
その、差出人不明の手紙の指示の場所へ、俺は律義に足を運んだ。
人気のない、もう校医さんも帰ってしまった保健室。
消毒薬とリネンの匂いの、校舎の片隅にあるその部屋。
保健委員以外は来ることもない、その部屋…そこが指定の場所だった。
ベッド脇のパイプ椅子に座って5分ほど待った俺の耳に突然飛び込む、ノックの音。
「失礼します」という声とともに入ってきた、意外な人物。
それは誰あろう、少し上気した顔の、水原、その人だった。
俺は、息を呑んだ。
あの水原が、遠くから見つめるだけだった水原が、俺を呼んたというのか?
「悪かったな、いきなり呼び出したりして。」
狼狽する俺に、水原は優しい口調で言う。
その顔はでも、どこか興奮を隠せない、そんな顔だ。
「水原…。」
「なあ大山、あんた、私のことずっと見てたろ?
いつも私を、私だけを、どんなときも見てくれてたろ?」
「…う。」
「そこで、だ。
なああんた、私とその…セックス、しないか?」
「…!?」
次の瞬間、俺は目を疑った。
いきなりたくし上げられたスカートからは、テープで水原の下着に留められた、所謂大人のオモチャ…ピンクローターが覗いていたのだ。
858 Memoir sage 2010/07/01(木) 23:55:59 ID:JiwQnlmF
露になった水原の、飾り気のないスポーティーなグレーのショーツは、クロッチがもう、滴りそうな程ぐしょ濡れになっていて。
スカートをたくし上げる手は、背筋は、白い太股は、ぶるぶるとモーター音に合わせかすかに震えていて。
透けたショーツからうっすら見える媚肉の形が、ヒクヒク俺を誘うそれが、起立した肉芽が、はっきりわかって。
俺の目は、すっかりその光景に釘付けになっていて。
だが俺の心にどこか、こんな現実を認めたくない気持ちがくすぶっていた。
あの水原が、水原がこんな出来の悪いエロゲみたいなことをするはずはなかった。
水原は俺には、神にも等しい存在だった。
崇高で清楚で理性的で…こんなのは嘘に違いなかった。
でも、俺の身体は正直で。
目の前の、憧れの人のあられもない姿に、俺の本能は酷く刺激されてしまって。
息が荒くなるのが、胸の鼓動が早まるのが、ありありと実感されて。
自分の股間がむくむくと起き上がるのが、やけに敏感に感じられて。
「やめろよ…こんなの…おかしいよ水原…!」
俺は目を反らしながら、やっとの思いで声を絞り出した。
でも視界の端の水原は、相変わらず発情した雌の顔で、俺の目をじっと見つめていた。
864 Memoir sage 2010/07/04(日) 07:57:21 ID:F0cQmzY1
「でもあんたの身体は、そう言ってないさ!」
俺の股間に、水原は手を伸ばす。
そして、俺にそのまま抱きついてくる。
ワイシャツごしの、水原の両胸の柔らかく暖かい感触。
伝わってくる、心臓のドキドキ。
高鳴ってしまう、俺の胸の鼓動。
水原は俺の硬くなった股間を、その白く細い指で優しく撫でる。
その温もり、それだけで俺は射精してしまいそうになる。
「…なあ、私にも触ってくれよ。
絡み付くあんたの視線だけで、私、ずっとおかしくなりそうだった。
勿論あんたに迷惑はかけない…これ限りの関係でもいい。
私の身体が、あんたを欲しがってる。
あんたが、欲しくてたまらない…。」
俺の耳元で水原は悩ましい、あいつとふざけてるときと全然違う、オンナの声で囁いて。
その荒い、発情した息遣いは、甘酸っぱい果物のような匂いがして。
水原は全身で、俺を求めていて。
いま正に、女の身体なんてエロゲと本とDVDでしか知らない俺に、水原が、憧れの人が迫っている。
そうだ…これは神がくれたチャンスなのだ。
俺は覚悟を決めて、下ろしていた腕を水原の背中に回した。
その温もりを、俺はギュッと抱きしめた。
865 Memoir sage 2010/07/04(日) 23:19:06 ID:nN5A92GF
制服越しに感じる、水原の柔らかな肌。
密着する、胸と胸。
さわさわと俺のそれを撫でる、水原の手。
「なあ大山…もっと攻めてこいよ…私を感じさせッ…むぐッ!」
俺を誘う水原の唇に、俺は優しく口付けた。
それは俺の、初めてのキスだった。
憧れの水原と、俺は今キスをしているのだ。
ただあわせていただけの唇の間から、水原の舌が、俺の口の中に入ってくる。
俺の舌を、水原がねっとりと舐め上げる。
俺の歯をまるで電動歯ブラシのように、ひとつひとつ撫で上げていく。
「むッ…むぐッ…むッッ…!」
俺も、負けじと水原の舌を自分の舌で叩く。
二人の、唾液が混ざり合う。
ピチャピチャ、ヌチョヌチョ、と、厭らしい音を二人でたてている。
俺は少しためらって、水原の背中の窪みを指先でつーっとなぞる。
水原の背中が、ゾクゾクと震える。
少し指がずれて、柔らかい肌の下の肩甲骨が、肋骨のひとつひとつを俺は感じる。
上下する胸の、押し付けられた硬い乳首の感触が、俺の心を支配する。
「なんだよ…うぁッ…お前ッ…意外にッ…上手いなッ…でもッ…今度はッ…違うとこもッ…攻めてッ…みろよ…ッ!」
離れた俺たちの口は、まだ銀の糸で繋がれていた。
水原の濡れたつややかな唇は、強がっているように見えても震えているそれは、俺の心を未だ誘ってやまなかった。
俺は、もう一度水原の唇に吸い寄せられていった。
「んッ…!」
水原は、俺の鼻先にその荒い鼻息をぶつけている水原は、なんだか思っていたよりもずっと細くて、小さくて。
俺とあまり変わらない身長のはずなのに、なぜか守ってやりたいような、けれどムチャクチャにもしてやりたいような、
そんな気持ちを俺に抱かせて。
俺は、何かに突き動かされるように、制服の上から水原の豊かな胸に触れる。
そして、力任せに揉みしだく。
「んはッ…ちょッ…もっとッ…優しくッ…!」
水原は、少し怒った声でそう言って。
けれど、俺を拒むことはしなくて。
俺は、もう必死すぎて自分でも滑稽だと思えるくらいだったけれど、だけど、この感触は、柔らかくて暖かいこの感触は、
俺の心の全てを掴んでいるようで。
夢中で俺は、水原の弾けるような胸のすみずみを、自分の手で、指で、探検したくって。
プレステのアナログコントローラーを操作するように、ぴんと立った、血の集まって起立した乳首を、俺はこね回して。
自分でも水原を感じさせようと力を入れないようにしようとしているのに、俺の手は言うことを聞いてくれなくって。
「あふッ…お前ッ…ハァッ…あッ…必死すぎッ…もっと優しくッ…力入れんなッ…ふぁッ…あッ…!」
そう言いながらも、水原の背中は、震えをこらえることはできずにいるように、俺には見えた。
水原の顔はいっそう赤みを増して、口からは唾液が溢れそうになっていて、その水気が俺の顔をも濡らしそうなくらいで。
そんな水原の顔は、俺が知っているどんな水原よりも、淫靡で、俺を誘って、何かわからない衝動を俺に抱かせて。
「あッ…ァっ…下もッ…うあッ…触れよッ…あッ…大山ッ…下もッ…ああああッ…触ってくれよッ…!」
水原の手に導かれて、俺はスカートの下に手を伸ばした。
指先からモーターの振動がはっきり伝わってくるのを、俺ははっきりと感じていた。
868 Memoir sage 2010/07/06(火) 22:10:01 ID:9G5fGEpY
俺は、恐る恐るショーツの上から、既に酷く濡れそぼった水原の溝をなぞる。
モーターの振動が、指先でもよくわかる。
指先から、水原の潤滑液が、滴る。
コリコリした小さな突起―これがクリトリスかな―が、水原のそこから飛び出ているのが、わかる。
水原の穴が、ショーツの上からもわかるほどヒクヒクと蠢き、俺の指を誘う。
「んはァッ…あ…はッ…!」
まるでペニスをうんと小さくしたようなその突起の先の、男なら雁首に当たる部分を、ぐりぐりと刺激する。
そのたびに水原の背筋が、電流を流したかのようにビクッと揺れる。
「あああッ…あ…ッ…大山ッ…いいッ…そこイイッ…!」
反対側の手のひらで感じる、水原の乳首はもう小豆大に膨れ上がり、酷く硬くなっている。
体中の血液を、乳首とクリトリスに集めているかのような、そんな熱さになっている。
「はあああッ…あッ…アっ…!」
水原の体に染みた汗は、もう制服をぐしょ濡れにして、ワイシャツ越しに俺の体に冷たい感覚を伝えてきていた。
その匂いと、生臭い水原の股間からの匂いで、俺はもうおかしくなりそうだった。
水原の膣口は、もう大きく口を開けて俺の指を飲み込もうとしていた。
ぐちゃぐちゃになった、濡れたショーツの越しに、俺の指をするんと飲み込もうとしていた。
「あああッ…あッ…うあッ…!」
暖かい。
水原の中は、既に俺を受け入れる準備が万端に整っているそこは、まるであつらえたかのように俺の指をきゅっと締め付ける。
柔らかな媚肉の感触が、はっきりと俺にはわかる。
「ンっ…あ…大山ッ…ショーツ越しじゃッ…嫌だッ…直接ッ…触ってくれッ…奥までッ…突っ込んでッ…お前のッ…指ッ…!」
荒い息の水原が、俺を潤んだ目で見つめながら言う。
そのぽってりした唇が、ぷるんと光沢を放つ唇が、俺の唇を誘う。
「んンッ…むン…ッ…!」
俺は水原と口付けを交わしながら、なんとかショーツをずらす。
さっきまでの布越しと違う、ぬめぬめした粘膜の感触が、水原の体温が、そのまま俺の指先から伝わってくる。
襞のひとつひとつが、俺の指の皺に引っ掛かりながら、俺を飲み込んでいく。
俺の指を、水原のそこが優しく包み込む。
なんかザラザラしてるとこがあるな…なんだ、ここ?
「あッ…あッ…うあッ…あッン…!」
水原は、俺の背中にぎゅっとしがみついたまま、脊髄をビクビクと振るわせる。
密着する肌が、もちもちした肌が、やけに心地よい。
ん…ここ、恥骨の裏側なのかな…なんか肉の後ろに骨があるみたいだ。
「はあああッ…あッ…!」
指の腹でそのザラザラを撫でていると、ちょうど第二関節のところに何かコリコリする部分があるのがわかる。
今度はそのコリコリを触ってみると…むむ…まだ奥に繋がってて…何か入口のような感じなのか、ここは?
「ああああああああッ…あッ…はッ…あッ…んッ…!」
水原の背中がいっそう激しく震えて、そして、その身体は、水原の身体は、次の瞬間にはもうくたっと力が抜けたようになっていた。
水原の荒い息遣いを、頬に感じながら、俺はぐったりした水原を全身で今、支えていた。
903 Memoir sage 2010/07/10(土) 22:03:06 ID:65XhISyH
「あっ…。」
俺は、水原の力の抜けた身体を、所謂『お姫様だっこ』で、簡素なつくりのベッドに横たえた。
身長もあるし、平均的な女子よりきっと少しくらいは重いんだろうけれど、だけど、水原の身体は意外なほどに軽かった。
額に汗を浮かべ、荒い息のままぐったりしている水原を、赤い顔をしている水原を、もっとぐちょぐちょにしてやりたかった。
水原は、少し考えて、ショーツを少しずつ、下ろした。
俺は、水原の両脚の間に正座をするように自分の膝を押し込めると、いきり立つそれの先を水原の滴るほど濡れそぼり、大きく開いたそこに押し当てた。
「水原、入れるよ…。
俺、初めてだからよくわかんないけど、でも、優しくする。」
「…よーし、来い。」
水原は、少し疲れた感じだけれど不敵な顔で、こくっとうなづきながら、言う。
そして、俺のそれを『正しい』位置へと、導く。
「ン…。」
ヌプ、ヌププ、と、少しずつ俺のそれが水原のそこに飲み込まれていく。
水原の中は暖かく、しっとりと湿っていて、俺のそれをあつらえたように包み込む。
二人の茂みが、いま、ひとつになる。
ハァ、ハァ…。
二人の、荒い息。
それの先から、竿の全体から伝わる、水原の体温。
背筋を何度も走る、電流。
俺の両手で支えた水原の腰の、柔らかな触感。
足首に引っ掛かったショーツの、濡れて、ひんやりした布の感触。
俺の太股に当たる水原の両股の、すべすべした、温かさ。
「あッ…あッ…あ…ああッ…!」
俺と水原がいま、セックスしている。
俺の童貞を、水原が今、食っている。
それは、なんだかものすごく、感動だった。
それだけで、もちろん初めて感じるオンナの中、ということもあるのだが、もう達してしまいそうだった。
「んッ…大山ッ…動いてッ…いいんッ…だぞッ…?」
どうしていいかもわからずただ水原にのしかかり、じっとしていた俺に、水原が、なんとか息を吸い込みながら、言う。
そっ…か、水原は、初めてじゃないんだな。
それが、どこか悔しい。
俺より先に、水原をこんなメスの顔にした奴が、日本のどこかにいる。
水原のこの身体を味わった奴が、水原にこの快感を教えた奴が、いる。
「ああッ…あっ…!」
よくわからないままに腰を振りながら、俺は、そいつをなんとかして見返してやりたいと思っていた。
そいつとのセックスより水原を感じさせてやりたい、そう思っていた。
水原の心に、忘れられない何かを残したい、そう思っていた。
「ンんッ…あッ…ああッ…はッ…あッ…!」
でも、俺の手探りのセックスでは、そんなことはきっと無理に違いなかった。
オンナの感じる場所だって、よくわからないのだ。
ましてや、自分のそれの動かし方なんて、わかるわけがなかった。
水原への思い、それだけしか俺に誇れそうなところはなかった。
俺が勝手に好きになっただけだけれど、それも、声をかける勇気もなくてただ遠くから見ていただけだけれど、水原の気まぐれでたまたまセックスできただけなんだろうけれど、だけど、俺は水原が愛しくてしかたなかった。
そんないろいろな思いを内包しながら、俺は腰を振り続けた。
あれから俺たちは、何度も身体を重ねた。
夏が終わり、高くなった秋の空の下で、冬枯れの街路樹の下で、俺たちは会瀬を重ね続けた。
木村が逮捕されたのは、その年の暮れ、ちょうど俺たちがセンター対策に明け暮れていた頃だった。
木村は、妻子ある身ながら女子数名と肉体関係を持ち、あまつさえその女子たちに他の男を誘惑させ、性行為の一部始終を隠し撮りしていたという。
報道では女子たちの名前は出なかったが、噂では水原もその一人のようだった。
俺は、たまらず水原を問い詰めた。
水原は、悲しい顔でこくんと頷き、自分は今でも木村を愛していると、俺に言った。
それは俺には、あまりに残酷な宣告だった。
あれから俺は女を、いや、人を信じるのをやめた。
俺はそのおかげか大学では人を蹴落として優秀な成績を修め、氷河期に全国区企業の内定を勝ち取り、人間関係は表面上だけと割りきりながら主任として今働いている。
今の俺を支えるのは、皮肉にも水原とのそんな思い出だった。
俺は、卒業アルバムをケースにしまい、バカルディをくっと煽った。
その味は、ほろ苦くて、ほんの少し甘かった。
どこか、少し涙の混ざったような、そんな味だった。
<完>