661 名前:Neutral Sexuality 1[sage]:2007/03/12(月) 02:28:59 ID:2gLC0Yx0


卒業式が終わった……。
それだけじゃない、マジカルランドや暦の発表も過ぎてしまった。
ちよちゃんは留学してしまうし、私も獣医学を専攻すれば忙しくなるだろう。
今までのみんなとも会えなくなるんだ。

どんなに体が成熟していても、心は少女である。
自分を含んだ六人がほとんどを占めるアルバムを見て、彼女は涙を流していた。
部屋の蛍光は灯されていない。点ける気力すら起きないようである。
本当ならもう少し喜んでいてもいいのに、と自分を不思議がりながら、カーテンの開いた窓を覗き込む。
親は久々の旅行に行き、一人部屋に取り残された休日。
ひざ下まで伸びかけている髪は、そんな時でもよく手入れされていた。
周りに置かれた猫の写真や愛らしい動物を模した縫いぐるみのようなものも、今は慰めにならなかった。

最も親しい人々と別れてしまうことへの不安は、彼女を再び三年前へと引き戻すほどに増大していた。
誰よりも、そう、きっと親よりも自分を変えてくれた友人と離れ離れになることは、今の彼女に耐えられるものではなかった。

それなのに、手は自らの秘所に伸びている。
しかも、ほとんどの女性が持つ花弁ではなく、その少し上、核があるべきところからそそり立っている突起物に。
可憐な姿におよそ似つかぬ剛棒、それこそが彼女を内向的に、寡黙にさせたと言っても間違いではなかった。

遺伝子上女性だと分かっていても、家族はそれを切除させようとしなかった。
幼いときには何ら疑問を感じなかったが、一緒に入浴しているときに、母にはそれがないことに気づいたのである。
さらに、二次性徴を迎えた後にはより疑いが深まった。
自分自身の運動能力が極端に高いことや、女子の生理だけでなく、周りの男子が話しているような現象の発生、
他の人を抜いて伸びつづける身長、少しばかり低くなった声。
学校の教育で、既に男性と女性がそれぞれ何を持つか、それぞれどう変化するを知っていた彼女は、自分の「根本」が
他人との相違の原因だと薄々気づいていた。

だからこそ、力が発揮できるはずの運動部には行かなかった。
着替えのときに気づかれてはいけないという単純な理由だけではない。
他の女子から「男性のように」憧れを持たれることを厭っていたのである。
事実、中学だけでなく、高校に入ってしばらくは、その体躯の良さから男女問わず部活に勧誘された。
体育の授業でも、バレーボールでアタックを決めたり、陸上で男子以上の記録を立てようものなら、
周りから黄色い声をあげられ、放課後にラブレターを渡されたりした。

そのようなこともあり、中学からの彼女は常に「かわいい物」と同化しようとしていた。
猫の写真、『ねここねこ』のぬいぐるみや絵本、そして西表島で出会ったマヤー。獣医を目指したのもこの頃からだ。
よくよく考えるとたわいもない理由だったなと、自分で反省もした。当然それだけではないのだが。
だが、自分に欠けているかわいさを補填するために、彼女が様々なものを買いあさったのは事実である。




662 名前:Neutral Sexuality 2[sage]:2007/03/12(月) 02:30:19 ID:2gLC0Yx0


そんな中、彼女は5人と出会った。
一人の「友達」として、憧れではなく親愛の対象として、自分を見てくれる存在は救いとなった。
5人のおかげで、閉ざされがちだった心をやわらかく開くことができた。
特に交わりが深かったのは、弱冠十歳と幾ばくの秀才少女である美浜ちよ、そして自分と同じくらい運動ができる神楽。
彼女を母親のように思い慕ってくれる幼い子供と、ライバルとして強く触れ合えた少年のような女性。

……しかし、彼女にとって、この二人はもう「友達」ではなくなりかけていた。
どちらも、今まで隠し通してきた性的衝動の矛先ともなってしまっていたのである。
女性としては男性的な匂いのする神楽を、男性としてはあまりにもうら若いちよを求めていた。
あるいはその逆かもしれない。

暗く、窓から街灯の光だけが入り込む部屋の中で、今まさに彼女は自分自身を弄んでいる。
二人を罪悪感と欲情の対象にしながら。
「あっ、だめ、だ……こんなの」
常々はしっかりと揃えられている寝巻きも、いつしか夜具の下に散らかされていた。
今晩は親も帰ってこない。少しの乱れくらい、許されたっていいだろう。
右手は常に扱きを加え、アルバムを手にしていた左手は時々花から蜜を掬いだす。
どちらも誰にも汚されていないし、このような体を汚す人間もいないだろう、
それで私は幸せなんだ、と彼女は思っていた。

ヤマネコのマヤーは、望みどおり彼女のもとにやってきた。
その時は、彼女だけでなく、ちよや他の4人も喜んでいた。
しかし、卒業して大事な人々を失ったとき、「天然記念物を飼う」という行為に
強い空しさと自己嫌悪を覚えた。

ごめんなさい。
君は島に帰って、仲間たちと元の環境で暮らさないといけなかったんだ。
私は罪人だ。ただの悪い人だったんだよ。
ここに居つづけても、絶対に君に幸せはやってこない。
「かわいいから」なんて考えがある人間のもとに居つづけても。
私が悪かったんだ、ひとりひとり貴重な動物を自分の手にしようと少しでも考えていた私が・・・・・・
ごめんなさい、マヤー。獣医志望失格だね。

ごめんなさい、ちよちゃん。あの子を預けてあなたにも罪を被せただけでなく、今あなたの体を想って卑劣なことをしています。
こんな姿をあなたが見たら、一生会ってくれないことでしょう。アメリカに行って私から離れることは賢明な選択でした。
もう私はあなたの友達ではないのです。ごめんなさい。




663 名前:Neutral Sexuality 3[sage]:2007/03/12(月) 02:33:28 ID:2gLC0Yx0


頭の良さと努力に報われず、不合格続きだった暦の合格発表。
桜咲く結果に、仲間として心から喜んだ日。
その数日後、裕福な家の財力でなんとかマヤーを島に戻すよう頼んで以来、ちよには会っていなかった。
彼女はほぼ黙りこんでいた。ちよはうすらと目に涙を浮かべていた。
「ほんとに、だめなんですか?」
「だめだ。もう隠していられないよ、マヤーはここにいるべきじゃないんだ」
「榊さんが!榊さんが飼おうって言ったんじゃないですか!」
「ごめん……ごめんね、だけど」
「動物のおいちゃ、お、お医者さんになるんですよね?
 自分で自分がやろうとしたことの責任を取ってください!」
「私が……悪かった……」
少女の涙は大粒のものに変わっていた。

ごめんなさい。
他のみんなみたいに、あのまま笑ってさよならできていればよかったのに。
あなたとは泣き別れになってしまいました。本当に……

「ごめん、はぁ、ん……な、さい」
目に浮かぶ涙は複合された暗い感情のためだろうか。それとも、快楽のためだろうか。
彼女自身は、後者の存在を認めないだろう。
だがしかし、謝罪だけではない声が漏れるのに、そして絶頂が刻一刻と迫ってくるのに、抗うことはできなかった。
「ん、んぅ、ちよ、ちゃん……か、ぐら」

ごめん。神楽。
大学のことを気にかけていたけど、無事に合格できたね。おめでとう。
やろうと決心したときには、君は絶対できるまで努力するって信じていたよ。
私のことを常にライバルと思ってくれたみたいだけど。
私にいつもおもしろい勝負を仕掛けてきてくれたけれど。
私に一番積極的に話しかけてきてくれたけれど。
そういえば、一緒にぬいぐるみを作って失敗しちゃったこともあったよね。
あの時も、ずっと大声で笑ってくれたけれど。
ごめん。私なんて、いつも一生懸命努力している君のライバルになれる存在じゃないよ。ごめんね。

このまま達してしまったら、ただでさえ愛液や先走りに塗れたベッドが思い切り汚れる。
それでも一向に止められない。むしろ、彼女たちに対する感情が両方の秘部にますます熱を持たせていた。

さらに、彼女は胸元に、今まで女性の秘所にあった手を這わせた。
身長や運動能力のたくましい成長に反し豊かになっていた乳房の先端が、敏感に指の刺激を感じ取る。
他の女子から羨望の目で見られ、男子からは性的に覗き込まれる張りのある双丘も、本人にとっては劣等感の元でさえあった。
どちらの性にもなりきれない不安定さは、彼女にとって大きな負担だったであろう。




664 名前:Neutral Sexuality 4[sage]:2007/03/12(月) 02:34:42 ID:2gLC0Yx0



なおも彼女は動きを止めない。それどころか、抑圧すべきものがより行為を加速させていた。
髪はシーツの上で乱れ、猫を柄に模したショーツは完全に脱ぎ捨てられている。
体躯の隅々に透明な液体が流れ、とめどなく流れる涙と混じりあう。
「ごめん……なさ、ん、ぁ」
絶頂が静かに近づく。手のひらに包まれた大枝は、極限まで反り返っていた。

「だめ、もう、だめ……だっ」
その瞬間、歯を食いしばって声を最小限に抑えつつ、彼女は大きく身震いして達した。
せめて床には出さないように、握っているのと反対の手で掬い取ろうとしたが、冷めぬ興奮の余り周りに白濁液が飛び散る。

手に放たれた性欲の水たまりを見つめてはいられなかったし、見つめないでもいられなかった。
快楽が終わったあとは、この液体の存在で増大された自分自身への嫌悪感だけが残る。
親が来る心配はない。ゆっくりと、落ち着いて片付けよう。
もう涙を流す力も残っていない。私はやるべきことをやらなければ。

「いい?ちよちゃんも、ちゃんと謝るんだぞ」
「わかりました。榊さん、大丈夫かな」
「大丈夫だよ。でも、深夜にこんなことをしていいのか、って考えちゃダメか」
どうしてだろうか、聞き慣れた声が耳に入る。
「……幻聴か?考えすぎかな」
思考能力が低下している現在の状態では、それ以上考えを深めるのは不可能だった。
ぼんやりと声のするほうに顔を向けたとたん、扉が開いた。

まずい。
出て行くときに鍵を開けたままにしておいたのか?
泥棒じゃなくてよかった、でも……

状況がそれぞれ理解できないまま、場の空気が凍る。

「あの、すみません、こんな時間……っ!」
「ちよ、ちゃん?」
「榊?なんだよそれ!?」
「か……」
「いや、なんでも、榊、でも、それは」

二人の目に入ったのは、生まれたままの彼女の姿と、女性にはないはずのなんらか、いや、陽物だった。
未だにしおれず、直立しているそれは、しっかりと裸体に根付いていた。
ベッドには見覚えのあるアルバム。写真には半透明の、うぶな娘たちにはよく理解できない液体。

その二人とは、先ほどまで彼女が欲望と罪悪感の対象としていた……ちよと神楽であった。


(続?)
669 名前:Neutral Sexuality 5[sage]:2007/03/13(火) 02:25:03 ID:HSU2MliU


    ※ふたなり嫌いな方はご覧にならないよう願います。
      ちよが本格的に絡むのはもう少し先になりそうです。



「きあー!」
凍った空気は、混乱したちよの絶叫によって引き裂かれた。
「た、大変ですっ!さかき、さ、榊さんが、びょうきですよぉ」
「あれ?確か、ここは榊の部屋のはず、だよな」
神楽は焦っていた。
不法な手段でこの時間帯に入室したからには何かが起きるだろうと多少は思っていたが、
いくら大学受験を無事に終えたとはいえ、もともと少ない頭の容量で目の前に広がる光景を飲み込めるはずがなかった。
「とりあえず、電気つけるぜ、いいな?」
扉の外は、二人によって既に点灯されていた。

―― まず、状況を整理しよう。
一つ。寝る子はよく育つって聞いたことあるな。それじゃ、背の高い榊がこんな時間に起きてるのはどうしてだ。
二つ。裸、だよな?これって?あ、よく見たら猫柄のパンツだ、意外とかわいい趣味だな。
   部屋の周りにもたくさん、そういえば前も二人でぬいぐるみ作ったんだっけ。
三つ。あの写真って、私たちのだよな。何か白いものが見えるんだけど。
四つ。それより、なんで私たちはわざわざこの部屋に来たんだっけ。
五つ。あれは、あのたってるモノって、男の、いや、違うよな ――

「深夜に起きてるの、ちよちゃんもつらいだろ?」
「はい、まだちょっと眠いです」
「きっと、これは夢なんだ。多分、ほおをつねっても」

「痛い」
真っ先に言葉をつないだのは、誰でもない彼女、そう、榊だった。
「君たちは……誰、かな?」
「え、えっと、美浜ちよ、こーこーせい、じゅう」
「ちよちゃん、そんなにかしましらなくても」
「……『かしこまる』……だ、神楽」
「『かしましい』、あれって女が三つって書きますよね」
「え?あ、『強姦』って言葉をニュースで聞いたことあるな。そういやあ」

「神楽と……そこの、ちよちゃん……に見えるけど、合ってるかな」
部屋が明るくなっても混乱はおさまらず、三者三様の反応が飛び交った。
「合ってますよ。えーと、大丈夫ですか?」





670 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2007/03/13(火) 02:26:22 ID:HSU2MliU



ほとんど落ち着いていることしかない榊が、ここまで戸惑っているのも珍しかった。
「どうして、ここに」
「いやーさ、ちよちゃんからあのヤマネコの話を聞いたんだよ。
 それでここ数日間連絡が取れないっていうからさ、ちょっと来ちゃったってわけ」
現時点での家の主は神楽の単純さにただただ驚くのみであったが、
鍵を確認しなかった自分の抜け目もこれに十分匹敵すると思い、責めようとはしなかった。
「どうせなら久々に大阪とか智とかも連れてこうかと思ったけどさ」
「……やめて」
これはさすがに我慢ならなかったようだ。
智ちゃんはいい子だ。時たま変なことはするけれど、明るくて面白い子だ。
でも、この状況が知られたら。
何の悪意もなく「榊ちゃんにアレが生えてる」とでも言いふらしかねない。

この状況。
この、じょうきょう?

「あ」
ついに榊が正気に返った。目を大きく見開き、雪の肌が初めて濃い桜色に染まる。
「こ、これは、その」
先ほどまで股間にあった手は行き場を失い、じたばたと動いている。
「いや、ごめんな。何も言わずに入った私たちが悪かったぜ」
「違う、鍵を閉めておかずに、こんなことを、っ!」
いつもは寡黙な少女がより長い言葉を発しようとしたが、何らかの力に抑えられてしまった。
はっきりと取り戻したはずの視界も、つややかな肌色に覆われている。

息ができない。
私の口に生温かいものが入り込んでいる。
「ん、む……」
あれ?どうしてかな。
さっきまで、二人が来るまで自分がどうしようもなく嫌だったのに。
マヤーを抱いたときと同じくらい、幸せな気分……

光に映える素の体に回された神楽の両腕。それに応じて、榊も自ら背中に手を回す。
唾液が絡み合う音が今にも聞こえてきそうなほどに、二人は口内を犯しあっていた。

互いの顔が離れ、熱を帯びた息が漏れ出す。
日ごろ誰よりも聡明なはずのちよは、しかし大人を知らなかったため、彼女らの行動にうろたえを隠せなかった。
「さかきさん、かぐらさんも、それって、おとこのひととおんなのひとが」
真っ先に返答したのは神楽だった。
「いいか、ちよちゃん。やっぱりこれは夢なんだ。
 夢の中だったら、私は自分のしたいことを一番先にしたい。それで良いだろ?」





671 名前:Neutral Sexuality 7[sage]:2007/03/13(火) 02:30:54 ID:HSU2MliU


「か、ぐら……」
戻ってきた正気が、一瞬にして幻想のかなたへ遠ざかった。
「それとさ。榊、別にお前が悪いんじゃない。鍵は閉まってた」
「……え、それ、じゃ……」
「窓は開いてたけどな。ちよちゃんがいて助かったぜ」
未だに釈然としない榊は、頭を下げて少女に視線を送った。
あまりの混乱に、先ほどからずっと床にへたり込んでいる。
「ごめんなさいです」
「こんな時こそ、ちっちゃい体が役に立つんだ。ありがとう」
「どういたしまして、です」


やっと全部分かった。向こう側の窓から入り込んできたんだ。
あの狭い窓からちよちゃんを入れて、中から鍵を……きっとそうだ。
今度から用心しないと。


「本当はこんなことをしに来たんじゃないけどな」
「そうですね。私が謝りにきたんです」
怪訝な顔で二人を見つめる裸の少女。
「あやまる……わたし、に?」
「はい。あの、返してあげなきゃいけないってことは分かっていたんです。
 でも、なんだか寂しくって」
「……マヤー、の?」
「ごめんなさい」
「ちよちゃんの……せいじゃ」
「ごめんなさい」
ちよは恥ずかしがりながらも、しっかりと謝意を示した。
年齢にふさわしい素直な仕草に、榊は笑顔を取り戻した。
「いいよ。大丈夫、ちよちゃんは悪くない」
小さな体を寄せ、先に口付けた相手と同じように抱き寄せた。
「ここまで来てくれて、本当にありがとう」


二人にとびきりの笑顔が戻ってきた。




672 名前:Neutral Sexuality 8[sage]:2007/03/13(火) 02:32:39 ID:HSU2MliU



彼女はちよに気をとられ、何も着けていない自分の無防備さを全く忘れていた。
先ほどの接吻で再び昂ぶりを見せた男根に、夢から覚めきらない神楽の口が近づく。
「……ん、あっ」
「どうかしたんですか?」
「なに、を」
首を、ベッドに横たえた肢体に向ける。
そこにあったのはまぎれもなく、自分と同じくらいの胸をたたえた少女の頭。
「あれ、神楽さんは?」
「あ、見ちゃ、んく、だめっ」
あえぎ混じりの言葉とともに、ちよの両目をとっさに手で覆う。
粘膜に蹂躙される先端はいよいよ血気を増し、全身に脱力感を伴う甘い痺れが走る。
少し前まで続けていた自慰とは、比べ物にならない快感に襲われる。
「ぐら、かぐら……いやぁ、そこ」
懇願しても、目の前のそれを嘗め回すことに耽る相手には何一つ聞こえていないようだ。
「ちょっと、がまん、あう、してね」
幼い子供にはこの痴態を見せるまいと、ちよを剥がれていた布団で隠す。
それと同時に、俯いていた神楽が顔を離した。
「気持ち良いか?」
「ああっ、こんあ、こと」
「夢じゃないよな。榊にこんなことができるのって、本当のことだよな」
そう言うと、彼女の顔がまた先刻のように榊に近づく。



「さかき。大好きだよ」
二人の間に少しだけ、やすらかな時が流れるように思えた。





673 名前:Neutral Sexuality 9[sage]:2007/03/13(火) 02:33:37 ID:HSU2MliU


軽く口を寄せ合ったのち、神楽はさらに攻勢を加えた。
「今度は下も、な」
花弁に指が埋められ、前後運動を始める。
「ひゃっ!かぐら、やぁっ」
さらに、限界まで熱を帯びた陽根がくわえ込まれる。
「むぅ、いいだろお、さかひ」
「あ、ふ……もう、で……」
紅潮しきった顔に浮かぶ涙は、今やただ喜びのものとなっていた。
「全部、飲んでやるから」
ここぞとばかりに指の運動を速め、奥まで茎を飲み込む。
「んあぁ、だめ、でちゃう!」


神楽の喉にほとばしる液体が注ぎ込まれた。
熱い欲望を、自らの言ったとおりに嚥下する彼女。
双方の刺激で達した榊は、息も絶え絶えに官能の渦から抜け出せないでいた。



布団の下から、ぽっこりとちよが顔を出していた。
「神楽さん、それって、好きな人にしてあげるんですか?」
「えっ?いや、これはな」
「……見て、た……か」
「あの、私も」


「榊さんに、同じことをしていいですか?」


「ええっ!?」
「……ちよちゃん?」
前戯を一つ終えた榊と神楽。
二人の声はそれぞれ、異様な驚きに満ちていた。

(続)
691 名前:Neutral Sexuality 10[sage]:2007/03/17(土) 01:11:04 ID:FQMc6pcT

遅れて申しわけございませんでした。

>>ID:076NocXs様
非常に優れた視点をお持ちでいらっしゃいますね。楽しみながら拝読させていただきました。
ほとんど登場しないみるちーとゆかの心情が、これだけで満足に読み取れそうです。

>>676様 今後の反省材料として活かしてまいります。




 ――決して覚めない夢ならば、それは最高の現実に違いない。
 真に苦悩のない世界が、今まさに目の前に広がっている――
こんなにも飾られた言葉が頭の中をよぎるほど、榊は自室の非現実的な様相に陶酔を覚えていた。
ただでさえあまり広くない仕切られた空間に、現時点で三人が詰め込まれていた。
先刻の絡み合いで高められた体温が、ますます夜を熱くさせる。

「さかきさん」
十分なあどけなさを伺わせるお下げの少女が、裸体を寝台に横たえた黒髪の美人に呼びかける。
「いいですか?」
「……ま、だ」
発した言葉には二つの意味が込められていた。
――まだ、子供が知っちゃいけないんだよ。
  それに、まだ、私自身の準備が――

「このままじゃダメだろ。だって」
問われた方向に榊がはたと顔を向けると、もう一人の澄んだ眼に見つめられた。
彼女の口から、行為による淫猥な液体が滴っている。
「ちよちゃん、アメリカに行っちゃうんだぜ?」
動かしがたい事実を思い出して心が揺らぐ。
「でも、こんなこと……させちゃ」
「こんなこと?」
少し考えをめぐらせ、神楽は答えを出した。
「ちげーって。
 ちよちゃんがお前を好きなら、それくらい言わせてやれってことだよ」
彼女の純粋さが戻ってきたことが分かり、榊に安堵の表情が浮かぶ。
「さっき私が言ったみたいに、さ」
微笑みとともに交わされた三度目の口付け。
「榊は、私のこと、好きか?」
尋ねられ、少し間を置いた返答。
「好き」
触れた唇を舐めると、ほのかに自分自身の濃厚な苦味が感じられた。




692 名前:Neutral Sexuality 11[sage]:2007/03/17(土) 01:12:26 ID:FQMc6pcT


ちよが突然、雰囲気に割り込むような一言を口走る。
「それだけじゃ、いやです」
見ると、どうも少しばかりふくれた表情をしているようだ。
「私だって子供じゃないんですよ?どうすればいいか、ちゃんと教えてください」
二人が横たわるベッドに上り、次の行動を迫る。
自分の心情にあまりにも正直な言動こそが、ちよの幼さを表していた。

「榊さん」
より真剣な眼差しで相手を見つめながら、
「いいですよね?」
より強い口調で意を確かめようとする。
ぼんやりと眺めるしかない榊を尻目に、ちよは更に大胆な行動に出る。
「答えてくれなきゃ、脱いじゃいますよぉ?」
言っているそばから服が自らの手で剥がされていく。
まだ誰の手にも渡っていない、成長途中の体。
口に出そうとして出せなかった言葉が、とうとう榊から漏れ出した。
「う……かわいいなぁ」
あられもない幼女の姿が男性の部分をそそり立たせる。

私のために二人がこんなことまでしてくれるなんて。
たとえ夢でも、こんなに幸せだったら覚めないでほしいな。
いつまでもこのままだったら、現実と同じになるから。

やっと分かった。
どうして私を「ライバル」だと言っていたのか。
一緒に競い合うことで、もっと私たちは磨かれていくのかもしれない。
ごめんなさい。
ずっと想いに気づいてあげられなくて。

やっと分かった。
いくつかわいい物を集めても、絶対にちよちゃんには勝てないよ。
こんなに愛しく、私を好きでいてくれる君を手放したくない。
ごめんなさい。
もう、我慢できないかも……。




693 名前:Neutral Sexuality 12[sage]:2007/03/17(土) 01:13:15 ID:FQMc6pcT


双方への複雑な感情は、互いに榊の肉欲を高めんとしていた。
まずは目の前の子供を胸に抱き寄せ、眠りの姿勢をとる。
「温かい?」
「はい。とってもぬくぬくしてます」
谷間に顔を伏せながら、ちよが付け加える。
「私もいつか、榊さんみたいになってみたいです」
「……これでいい。ちよちゃんは、ちよちゃんだからいいんだ」
「ほ、本当ですか?」
「うん」
にこやかな表情で肯定する少女に再び問う。
「えへへ。たまには、甘えてもいいですよね」
ちよはふくよかな乳房の先端に口を添え、産まれたときを思い出すかのようにしゃぶり始めた。
「ん、ぁ、それ、いい」
喘ぎには既に罪悪感や嫌悪のかけらもなかった。
今は幸福で全てが満たされている。
精神と肉体それぞれを侵し続ける快楽を感じ、欲を解き放ったばかりの陽根がまた立ち上がっている。

「忘れるなよ」
神楽も、この状況を第三者として見てはいられなかった。
「私も一緒にさせてくれ」
「え、何を」
榊が要望の主に振り向くと、何にも飾られていない人間本来の姿があった。
「これでみんな同じだぞ」
「神楽?」
はだけた上半身には、榊のそれに匹敵する容量を持った乳房があり、
下半身にはうっすらと色づく細い恥毛が根付いていた。
ちよを胸に乗せて仰向けとなっている榊の下半身に、最後の裸体が跨る。
彼女から生える「それ」に手をかけ、自ら未開の秘所へあてがう。
「あ、そこ……は」
「まだか?こんなに硬くしてんのに」
「多分、出ちゃう、から」
「ああ、やっぱダメか。だったら」
多少不満げな面を見せながらも、めげずに新しい提案をする。
「場所、代わってくれ」
それに従い、ちよを抱いたまま榊が立ち上がる。
胸元をよくよく見ると、お下げの少女は既に眠りに落ちたようだった。
まだまだ愛くるしい子供だ、と思いつつ、もはや乳房から離れかけた頭をそっと撫でた。




694 名前:Neutral Sexuality 13[sage]:2007/03/17(土) 01:14:37 ID:FQMc6pcT


「いや、そうじゃなくって」
「えっ?」
「ちよちゃんと代わるんだ」
熱い雰囲気に反し、冷ややかな指摘をする神楽。
実のところ、胸元の少女を手放したくなかった榊だが、渋々言うことを聞いた。
ちよを起こさないように配慮し、静かにベッドに寝かせる。
「それで」
「だから、ちよちゃんと同じように、って。お前ならできるだろ」
神楽はそう言って榊の両肩を持つと、今度は立ちすくむ男性自身を両足の付け根で挟み込み、
彼女に自らの肢体を持ち上げるよう頼んだ。

二人の少女が裸で向き合う。
地面から浮いたひとりの全体重が、起立しているもう一人に抱え込まれた。
並大抵の女子をはるかに超えた、榊の体力と身長がなせる業である。
一通りの準備ができ、最後の指示が耳元でささやかれる。
「動いてよ。な」
榊がとまどいつつも腰に力を入れると、それぞれの器官が擦れ合いはじめた。
一度はおさまりかけた下半身の感覚が蘇る。
「あっ、なにか、変な……感じ」
「ん、やっぱ、気持ちいいんだな、これって」
「……こんなの、はぁ、だめ……だ」

行為のざわめきによって眠りから覚めたのは、他でもないちよであった。
「むにゃ……二人とも、何してるんですか?」
寝ぼけ眼で見つめる視線にはっとし、身体を硬直させる榊。
一方、彼女の体にしがみついたままの神楽は、さも平然な顔で問いかけた。
「にゃもに習わなかったか?」
「みなも先生、ですか?」
「ほら、『あの言葉』」
「……『すまた』?」
さすが天才と言うべきか、不必要なところにまで記憶が行き渡っていた。
「そう、正解。
 今日は榊と駅弁のカッコで素股、分かるかぁ?」
「え、えきべん? わかりません」
「そっかー、大天才のちよちゃんでも、分かんないことあるんだなぁ。
 あれ、腰が止まってるぞ? もっと激しくしてよ、ねえ」


 ――駅弁って何、ということじゃなくて。
   やっぱりどこかおかしい。
   現実にしては浮つきすぎてるし、夢にしては感覚がはっきりしている。
   神楽やちよちゃんも、こんな性格じゃないはずだ――




695 名前:Neutral Sexuality 14[sage]:2007/03/17(土) 01:16:09 ID:FQMc6pcT


「もう二時半だ」
「いいじゃんか、榊ってば真面目なやつだな」
「親は」
「遊んでいいわけねーじゃん、でも遊ぼうぜ」
全く的外れの答えが放たれる。
「いや、あの……ちよちゃんも」
「私はちゃんと、泊まりに行くってお父さんに言いましたよ。でも、もう眠いです」

 ――お父さん?
   そうか、これはみんなちよちゃんのお父さんの仕業だ。
   今まで何度も、あれを夢で見てきたな。
   ということは――

「さっきからずっと動いてないな、早く」
「これも夢なんだ。好きにさせてもらおう」
榊はそう呟き、前後の摩擦運動を再開した。
持ち上げていた神楽の腰を力強く把握し、同じ体勢のまま激しく突き上げる。
「そ、そうだ、榊、あ……いい」
陽物のふくらみと、誰をも受け入れていない外陰が密着する。
「これで入ってたらどんくらい良いんだろうな、あふ、そこ」
処女を守ったままでの行為だが、ようやく双方とも満たされるような感覚を覚えた。
「榊さん、ずっと神楽さんを持ち上げて、凄いです」
浅い睡眠と目覚めの間でか細い声で感嘆するちよの声は、どちらにも聞こえていなかった。

「本当に、いいのか」
「はぁ、は……うぁ、もっとぉ」
先ほどまで上手に出ていた神楽も、ついに男根の快楽に押さえ込まれた。
女陰の核が立ち上がる逸物のくびれに扱かれ、愛液が動作を補助する。
「濡れてる」
「やっ、そんなこと、いうなっ」
少しずつ素直になっていく神楽に煽情され、運動がなおいっそう速まる。
各々の吐息に自然と声が伴う。
「神楽の息、あ、甘い」
「何、言ってんだ、ぁ……お前、おかしい」
「もうっ……そろそろ、出して、いい?」
「まって、わたしが、いってから」

一人だった初めの時よりも、遥かに多くの液体が飛び交っている。
「なん……か、もう、く、い……く」
恍惚とした表情で告げる全身が、絶頂に震えだす。
「ん、私も……出る、よ」
「さかき、さか、き、うあぁっ」
「かぐら、う、くぅ」
同じ時をもって最高潮に達した瞬間、二人は床に倒れこんだ。



696 名前:Neutral Sexuality 15[sage]:2007/03/17(土) 01:18:11 ID:FQMc6pcT


かすかな街灯の光は朝焼けに変わっていた。
一夜の熱で深く眠りきれなかったのだろうか、長身の少女がまず目を覚ました。
 ――ここはベッドの上じゃない。
   まず、さっきまで立ちあがって神楽を持ち上げて、その後――
夢心地から一転、重苦しい空気が漂う。
体の上には晩の相手が、寝台には幼い子供が乗っている。

今までの状況が現実であると確認し、榊は冷静に自室を整理しだす。
それ以外にするべきことがないのである。
まずは自身にかかる荷重を除こうと、神楽を起こすことを試みるが、全く動じない。
顔同士を近づけると、吐息に特殊な匂いが含まれていた。
その上、体躯を退けて神楽に着せようとした服のポケットには銀色の缶があった。
手に取ると、どちらの香気も等しいものだった。
「……お酒?」

「榊さん、どーしたんですかー?」
常々に反して、冴えない音声がベッドから響き渡る。
振り向くと驚くべきことに、そこには白濁に満ちた女児の顔があった。
「ちよちゃん!え、それ、ごめんなさい、どうして」
どうも後味の非常に悪い目覚めのようだ。榊のそれがどこまで飛散したのかを、ちよの惚けた面が物語っている。
「にがい、です」
ただそう言われ、榊は何も返せなかった。
「とりあえず、服、着ようか」
散らかされた各々の衣装を探しそろえ合う。
「それ、なめちゃ……だめ、顔、洗って」
「神楽さんは?」
「起きない。もう少しで、全部着せられる」

電気が灯ったままの部屋を出て、洗面所までちよと行き着く。
鏡を二人で覗くが、やはり妙な感覚を覚えているようであり、
「ちよちゃんは、覚えてるか?」
「はい。起きてる間は、みんな」
「……やっぱり、本当のこと、かな」
「そうですね。神楽さんから教えられてやってみたんですけど」
と、ピントの合わない会話がなされた。
「神楽、か……ちよちゃん、」
「なんですかー?」
「まだ、君は大人にならなくていいんだ。むしろ、子供のままでいてほしいとも思う」
「え、でも、榊さんみたいになりたいです」
「そうか……私は、ちよちゃんみたいになりたい。そう、君みたいに……かわいく」
どうやら、榊はこの種の話題に限って饒舌になるようだ。



697 名前:Neutral Sexuality 16[sage]:2007/03/17(土) 01:21:54 ID:FQMc6pcT


「『かわいい』なんて、そんな事、言っちゃダメです」
「いや……『かわいいは正義』だ」
話が進むにつれ頬が緩むのを見て、ちよはこれ以上の反論をやめた。
「それと、本当に、ごめん」
微笑みを保ったまま語りだす榊。
「いいんです。マヤーは元気に暮らしているでしょう」
二度目とはいえ、さすがに素早い返答である。
「そうだね……もう、かわいさだけを求めなくていいんだ。君がいるから」
「そ、そうですか?」
あまりにも自分に正直な、そしていつもからすると過剰な相手の話し振りに、ちよの顔が赤くなる。
「もう少し後になったら、教えてあげる」
大人の唇が、子供のそれに重なった。


次の会話により、雰囲気は再び一変する。
「あ!窓、開けたままでした」
「……ま、ど?」
「あそこです」
推測の記憶が、緩やかながらも榊に戻ってくる。
 ――そういえば、二人はどうやって家に入ってきたのかな。
   しかも、深夜に来る明確な理由は見当たらない。
   何よりも、マヤーの話だけでこんな展開になるはずがない――
「神楽は……」


その瞬間、離れた自室から叫び声が聞こえた。
「うわっ、ここ、私んちじゃねぇ!なんだこのぬいぐるみの大群は!」
二人ともどもため息をつく。
「親が……帰る前に、片付けないと」
「私も手伝いますね。それと」
「ん?」

「続きは、私の家でお願いします」
話はまだまだ続きそうである。


(第一節・終)




※いったんここで区切ります。ありがとうございました。
このスレでは榊さんのふたなりネタが多いように見受けられますが、需要もあるのでしょうか。

inserted by FC2 system