58 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/01(日) 01:22:12 ID:x050brl3 正面を向き合っての、キス。
制服も下着も脱ぎ捨てた上半身を後藤の厚い胸板に密着させて、必死に舌を絡ませあう。
「ん…ン…むン…ン…。」
クチュ、クチュ、淫らな水音をたてる、二人の唾液。
腹に当たるのを感じる、あいつの熱い怒張。
口付けながら後藤の指が、私の背中を撫でる。
水着の形に焼けた背中を、その線に沿うように、優しく撫でる。
「なあ…榊と私、どっちとするのが気持ちいい?」
唇を離して、私は訊く。
後藤のことだ、また曖昧に言葉を濁すだろう。
それでもよかった。
榊の愛する人を、その榊より惹き付けたい、そんな歪んだライバル心が私を熱くした。
後藤のためなら、何だってできた。
ゴムがなくても、私は平気だった。
ピルがあるし、アフターピルというのもある。
マイルーラの後釜のフィルムだってある。
でも榊は、生を怖がっている様子だった。
確かに、ピルでは避妊はできても性病は防げない。
そこがきっと、後藤にとって私のアドバンテージになっている。
私自身も、木村にピルを教えられて初めて受けた生の快感の波が、忘れられない。
だから私は今日も、二人を何にも隔てられたくなかった。
フルの、生の快感に、二人で踊りたかった。 61 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/02(月) 01:01:55 ID:w6ia+rH+ 私は後藤を押し倒す恰好で、所謂シックスナインの姿勢を取る。
口の端まで後藤の熱い肉欲の棒が、私の呼吸を妨げる程に硬く膨れ上がる。
その先を唇で優しく包み、鈴口の部分や裏の縫い目の部分を、ちろちろ舌の先で舐める。
一方で後藤の指が私の秘裂を割り開き、既に小豆大になった陰核を包皮の間から見つけ出す。
そして軽く、甘噛みする。
「んーんーン…あっ!」
走る電気で、震えた口元から後藤のそれがぽろんと出てしまう。
が、後藤の陰嚢は、既に刺激で上がり始めている。
今度はそれに舌を這わす。
「あ…ァッ…あ…ン…あっ!」
後藤は唇と舌で私の肉芽を刺激し続けながら、濡れ始めた入口に少しずつ指を差し込んでいく。
入口のところでクチュクチュ愛液を混ぜられながら、ドリルのように徐々に指が入れられていく。
「あァッ…あン…あっ…あああッ…あッ…ン…あっ!」
指先が、どんどん侵入してくる。
腰骨の裏側の尿道に被さる肉を、ぐりぐり刺激する。
「あああ…だめっ!」
後藤の白い欲望が私の口内を勢いよく汚したのと、私の潮がスプレーのように噴出したのは、ほぼ同時だった。
私たちはぐったりと、汗で濡れたベッドに横たわった。
64 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/03(火) 00:29:44 ID:PEw708gS これが、モテ期なのか。
一生に三度あると云うが、それなのか。
俺は、いま精を放ったばかりのそれを、ぬるぬるで生臭い、少し柔らかくなったそれを愛しげに舐める、神楽の褐色の上目遣いの顔を、複雑な想いで眺めていた。
野性動物のように無駄のない神楽の全身を、競泳水着の形に色づいた日焼けのコントラストを、小さな身体に不釣り合いに大きな乳房―いま俺の太股に押し付けられている―を、凝視していた。
初めて女、それも榊の柔肌を知ってから、まだひと月も経っていない。
なのにいま俺は、その榊と男子の人気を二分する神楽の、その舌技に体を預けている。
榊との関係を保ったままで、だ。
神楽の口内はとても暖かくて、イったばかりで敏感な粘膜から、口をすぼめられる度に快感が背筋を走って。
鈴口を舌が叩く度に、痺れそうな電流が体を打って。
ボサボサの神楽の髪の間からは、少しの塩素の残り香と、8×4かBanかデオドラントの匂いが、汗の蒸散に合わせて部屋に広がって。
俺は、こんな技を神楽に仕込んだ男に軽く嫉妬していた。
ここまで上達するほどこの行為を繰り返させたそいつが、俺は憎かった。
この感情が、自分でも少し恐かった。
67 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/04(水) 07:15:18 ID:wcAQ9Aog 神楽の、瑞々しい柔らかな双球。
膝立ちした神楽は、そこに自ら唾液をたっぷり垂らし、ぬるぬるの谷間に仁王立ちした俺のモノをぎゅっと挟む。
白い肌の間からちらちら見える赤紫色の俺の先端は、もうさっきの固さを取り戻している。
「ンっ…ン…ふぅ…あ…ン…っ!」
神楽は時々上目遣いで俺の顔を見ながら、両腕を動かす。
硬い乳首が散発的に亀頭に触れる感触が、心地よい。
こんな風に神楽に骨抜きにされる自分が、ガキで無力で、ひどくちっぽけに思える。
身体の芯がやたら切なくて、キュンと何か心を締め付けられる感覚が俺を襲う。
でも俺の興奮は萎えず、俺のモノもかえって硬度を増すような、そんな気がする。
どこか背徳的な悦び…のような気がする
「ヤベえ…神楽…気持ちっ…お前…なんでこんな…ふゥ…テク…っ!」
神楽の両手が抱える肉の壁にそれを包まれる暖かさと、俺の額を流れる汗の冷たさ。
俺の問いに答えぬ神楽の、意味深な、でもどこか寂しげな微笑と、二人の荒い息。
股間から背筋まで交感神経をビリビリ刺激する、快感の波。
限界だった。
俺はいきなり神楽の肩を掴むと、そのままベッドに押し倒した。
あとは、もう本能のまま行動するだけだった
71 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/05(木) 16:55:19 ID:7UFaVqiG 「はァッ…んッ…あンッ…!」
神楽のそこは、俺のそれをすんなり呑み込んだ。
しかし、それでいて俺をキュウキュウ締め付ける、濡れた粘膜の感覚は俺を驚かせた。
榊と、全く違う。
榊はまだその行為に慣れぬせいか、濡れはしてもなかなか解れなかった。
かなり愛撫を続けなければ、痛がった。
「あァ…ンん…アあッ…はン…あン…あっ!」
だが、神楽は俺をすんなり受け入れている。
いま身体を重ねている女と別の女を比べるのはアレだが、あまりに違いすぎる。
俺たちは、口付けを交わす。
二人の唾液と唾液が、ピチャピチャ混ざりあう。
重力でひずむ巨大な胸を、執拗に揉みしだく。
柔らかな、汗で湿る乳房が、しっとり俺の手のひらに吸い付く。
「ひゃン…ッ…あ…はン…!」
乳首を摘まむ度ぴんと背筋を反らせる神楽のナカに、空間ができてきているのがわかる。
その奥、コリコリした部分が降りてきて、俺の先に当たっているのがわかる。
ジュポジュポと、愛液と空気が混ざる音まで感じる。
だめだ、もうヤバい。
入れたばかりなのに、ヤバすぎる。
頭が、真っ白になりそうだ。
だが腰の動きは、止められなかった。
もっと快感を、貪りたかった。 73 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/05(木) 23:28:21 ID:7UFaVqiG 唾液と汗でテカテカになった、豊かな乳房。
それを片手で鷲掴みにしながら、中の乳腺の触感までもを指先に覚えながら、俺は高みに上り詰めようとしていた。
「ンんン…はァあッ…!」
吸い付く肌と、二人の汗のドロドロに混ざりあった液体。
全身の感覚器が全て鋭敏になるような、鳥肌が立つような、この高潮。
止まらない、腰の動き。
それに合わせて鳴く、甘い声。
「あァあア…はァン…んああああッ…あ!」
避妊具なんか、今更付けることもできない。
外に出すことも、きっと適わない。
いつ射精てしまうかも、わからない。
「あんン…ッン…あァああああッ…!」
自分の思考を文章の形で吐き出すことも、もう難しい。
二人の身体が、精神が、溶け合っていく。
否、そんな錯覚すら覚える。
「あァああアああああッ…!」
ドクン、ビュル、と、俺の精が神楽の中に思いきり放たれたのは、次の瞬間だった。
神楽のそこは、遺伝子を一滴でも多く取り込もうと複雑に蠢き、それが快感を倍増させていた。
亀頭の先に、開きかけた子宮口が吸い付くのがわかる程、それはクリアな感覚だった。
小刻みに震える神楽の頭を、俺は優しく撫でた。
神楽が、微笑んだ気がした。 76 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/06(金) 23:52:38 ID:yfYxKD8m あれは、もう遠い記憶。
一生を捧げると決めたひとと、最初にひとつになった日。
俺たちはもうすぐ、正式に夫婦になる。
彼女の腹がまだ目立たない時期のうちに、式を挙げる。
そう、彼女のナカには、新しい命がいる。
生命を、彼女は孕んでいる。
俺の子を、彼女は宿している。
それが、たまらなく嬉しかった。
ひとつの命が新しく、誕生するのだ。
俺と彼女の子が、来年生まれるのだ。
俺は部屋で独り、彼女の帰りを待っていた。
クーラーの効いた部屋で、ハナベイ・ラムをちびちび傾けながら、スパムの炙ったものを楽しんでいた。
それが余りに旨くて、マナーモードの携帯が何度も震えたのに、俺は気づかなかった。
俺が気付いたときには、液晶の表示には「着信:16件」とあった。
慌てて通話ボタンを押した俺の耳に飛び込んできたのは、彼女の同僚であり俺の高校の同級生でもある、あの赤い眼鏡の子の声だった。
「あ、後藤、バカお前何してたんだ!
落ち着いて聞け、神楽がな、駅の階段から落ちて…おい、聞いてんのか!?」
ショットグラスが、割れる音がした。
俺の足から、血が流れているのがわかった。
それは、まるで別の惑星の出来事のようだった。 78 :The Secret among the Chicks 第二部 :2010/08/08(日) 12:47:39 ID:aUe5us3p 霊柩車の発車合図のホーンに驚いた鳩が、斎場の前から一斉に飛び立った。
みんなに見送られたその黒いメルツェデスの後ろには、神楽さんの柩が納められていた。
こんな形でみんなが揃うとは、悪夢以外の何者でもなかった。
三日前、あのひどい雨がやっと止んだ晩、足を滑らせ駅の階段から転げ落ちた神楽さんは、そのままERで息を引き取った。
脳挫傷だった。
母子共に助からなかったことを一番悔やんでいたのは、間違いなく後藤君―神楽さんと授かり婚をすることになっていた―に違いなかった。
黒づくめのみんなの顔も、涙でぐしゃぐしゃだった。
最後まで柩にすがり大泣きしたゆかり先生を無理矢理引き離したにゃも先生も、その眉間には深く悲しみの皺を走らせていた。
ただ一人、榊さんだけは、長い付き合いの私にも感情が読めないような、複雑な顔を浮かべていた。
それは、顔を覆う薄いベールのせいだけではなかっただろう。
私の留学先で神楽さんと後藤君の話をしてからこっち、榊さんはいつにも増してミステリアスな表情をするようになった。
急激に、何かが変わろうとしていた。
晩夏の生暖かい風が、私たちを優しく撫でていった。
<第二部 完>