557 名前:[sage]:2007/02/05(月) 05:57:14 ID:LPgakyTE

「かわいいなぁ」
「そ、そか?」
 普段はその落ち着いた態度から女子高生というよりは大人びた女性として見られる水原
暦だったが、やはり彼女も一介の乙女である。当然容姿に関する誉め言葉には敏感なわけで。
(私もちょっとはイケてるってこと、か? ハハ…)
 ちょっと照れてしまう。柄にもなく気分が高揚した。
 確かに今の格好は普段のイメージとはだいぶ違っている。いつもはニーソに包まれた脚
が白くむき出しになっているし、普段は暖色系や黒色系の落ち着いたのを好んで着ている
のが、今はパステルカラーなノースリーブのチアガールスタイルだ。スカートも動く度に
ひらひらと無闇に揺れる、やたら軽い生地のもの。素の自分なら決してできないイメチェ
ンだ。でも体育祭の応援という役割を担って、「しょうがなく」着ることになったのだ。
そう、あくまでしょうがなく。
 にしても。OLや女子大生に間違えられることもある自分が。
(『かわいい』……)
 脳裏に反芻されるワード。
 高校生になってから一度でも言われただろうか? いや、もしかしたら中学生の時にだって?
『あらー暦ちゃん、大きくなったわね。あ、もうちゃん付けで呼んじゃ駄目かしら』
『あの失礼ですがお年は? 本当に中学生ですか? 学生証を拝見してもよろしいですか』
『私もよみみてー女子大生やOLに間違われてー』
 ……心に冷たい秋風が吹く。考えるのはやめておこう。
 でも今、自分に向けられたの言葉は何だ。そう、「かわいい」だ。まごうことなき
「かわいい」なのだ。
 確かに衣装の力によるところは多分にあるだろう。だが「かわいい」と言われるのは、
自分にそういう要素が多分に含有されているからこそなのだ。

 

558 名前:[sage]:2007/02/05(月) 05:58:43 ID:LPgakyTE

 かわいい。誰が。私がだ。「よみはかわいい」「よみ、かわいい」「ヨミ・イズ・ザ・
プリチー!」「プリチー!」
 自然と緩む口元。今日ぐらいは眼鏡を外して、コンタクトにするべきだったか?とさえ
思い始めた。が、かおりんは続けて、
「ホント、かわいいなぁ、ちよちゃん」
 暦のすぐ後方には、ポンポンを振っている真・「かわいい」がいた。
「えへへー、そうですかー?」
 暦の胸元くらいの背丈しかない少女は、ツインテールを横に傾げて頬を赤く染めた。
文句なくかわいらしく。
「…………」
 高揚した分、落とされたダメージは大きかった。


 

559 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:00:36 ID:LPgakyTE



「よみちゃん」
少なからず落ち込んで、ポンポンと一緒に頭を垂れてたところに、声がかけられた。
 のほほんとしたトーン。いつでも春うららか風味なこの声は。
「何だよ、大阪……」
 本名・春日歩。通称・大阪。
 体操着にブルマの同級生が、上げた顔の前にいた。
 さっきの競技で手に入れたメロンパンを片手に持っている。端が欠けているのは、
パン食い競争後の整列の時点でパクついていたからだ。何やってんだ、と誰もが思ったが、
「まあ大阪だし」で速攻片づけられてしまった。つまりそれが大阪である。
クラスのハチマキが彼女の丸い頭に巻かれると、りりしさUPに全く貢献しなくなる
から不思議だ。黒いセミロングの中央にはニコニコとした顔が収まっている。まったく
何がそんなに嬉しいのか、本当にニコニコとニコニコしている。まあ理由なんて本人にも
わかっていないだろう。理由の存在自体ないかもしれない。
「ちょっと来て」
 何の前振りもなく、くい、と手首を引かれた。
「は? 何だよ?」
「来てほしいねん」
「どこに? 何なんだ?」
「ん〜、ええから」
 ポンポンがついたままの手を引き続けて、どこかに連れて行こうとする。
「意味がわからん。説明くらいしてくれ」
 と言いながらも、暦は半ば理解をあきらめていた。
 これに限ったことではなく、大阪の言動を理解するのは難しい。つきあいが長くなろう
と深くなろうと、完全に理解するのは一生無理なのだろう。その難解さは宇宙の神秘を解明
することに等しい。解明した暁には神の横に並べる。
 これで連れションというオチであっても、なんら驚くことはないだろう。だって大阪だし。
『夜中に怖い話し聞いた子供か、お前は』
ツッコミの仕方まで想定して、引かれるがままついていくことにする。大阪は何ら気に
した風もなく、右手にメロンパン、左手に暦を持って歩き続ける。全校生徒の競技と応援、
そのにぎわいから二人は人知れず離れていった。


 

560 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:01:54 ID:LPgakyTE



 そうして着いた場所は、トイレではなかった。
「う……」
 軽く嫌な気配が走って、口ごもる。
「どないしたん?」
 相変わらずの笑顔で、大阪は体育館倉庫の扉に手を掛けた。



鉄の扉は重かったので、結局暦が開け閉めすることになった。ちなみに大阪の腕力は
腕立て一回未満の実力である。
 ガシャァン、と重低音が密室に響く。鼻をつく独特のすえた臭い。相変わらず狭い部屋
だった。臭いもこもりやすいだろう。臭いの発生元であるマットやボールは、ひしめき合
うように収蔵されている。小さな磨りガラスから入る日差しはやや黄色い。それがかすか
に舞い上がったホコリを浮かび上がらせていた。
やや潔癖の気がある暦が眉をひそめていると、ふっ、と鼻先に何かが触れた。
 大阪の前髪、と理解する間もなく、唇を重ねられていた。
目を見開く、が、すぐに暦はまぶたを落として応じた。
 二人はいとおしむように唇だけで互いの熱を交換すると、一度唇を離し、角度を変えて
もう一度合わせた。今度は軽く舌先で触れあった。
 再び離れた後に大阪の顔を見ると、全く無邪気を絵に描いたような笑顔だった。それで
暦の方が顔を赤らめることになってしまった。
ふと、その大阪の後ろ手がさりげなくターンキーを掛けているの目の端がとらえて、
(あぁやっぱりそのつもりだったんだな)
 と、暦は思った。


 

561 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:03:00 ID:LPgakyTE



 学校ですることは最近始めた。と言っても、これが三度目。
 初めは教室でだった。放課後、誰もいないのをいいことに、制服を着たまま。
 二度目は生物室で。雨の日、掃除の後に、カーテンと鍵を閉めて。
どんどんエスカレートしているのは明らかだった。一度目こそキスからつい雰囲気的に
やってしまった感があるのだが、二度目は確信犯だった。大阪の計画的犯行。どうにも校
内というシチュエーションに味を占めてしまったらしい。
 確かに教室での行為は、妙な背徳感からいつになくお互い燃えてしまったのだが、それ
以来大阪はあちこちで手頃な場所を物色しているようなのだ。みんなと屋上でお昼を食べ
ていたとき、大阪が校舎のより高い箇所を見つめていたときは青ざめた。
きっぱりと断ればいいのだが、どうやら自分は押しに弱いことが最近判明した。状況に
流されてしまうのだ。大阪のあのにこやかな顔で身体をすりよせられると、気づけば自分
の手も大阪に触れていて、やがては口を重ねている。
 結局二人とも弱いのだろう。大阪はいつ何時どんな場所でも寝るオオサカイズムを確立
するほど睡眠欲に弱く、自分は隔週ダイエット大王とからかわれるほど食欲に弱い。そし
て三大欲求の残りの一つに対しては……認めたくはないが……二人ともが弱いのだろう。
大阪は惰眠をむさぼるかのごとく自分の身体を強く求め、自分はついシュークリーム分が
足りなくなってしまうかのように大阪の求めに抗えない。
 そして今、大阪に言われるがまま、マットに丸くなるようにうつ伏せにされてしまって
いる。いつものツッコミ魂はもう遠くどこまでも飛んでいってしまったようだ。

 

562 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:04:39 ID:LPgakyTE

「よみちゃんのお尻、おっきいなぁ」
大阪にそう言われながら、小さな手のひらを二つの丸みに沿わされて、暦は羞恥で熱く
なった。正座を開いた格好になった暦の臀部は、やや上向きに大きさを強調するようにな
っている。安産型といえば聞こえはいいが、暦は幾分そのことを気にしていた。
「ほんま、よみちゃん、ええな」
 逆に大阪は暦の大きめなヒップをお気に入りのようで、たいてい行為はそこへの接触
から始まることが多い。暦のコンプレックスなど知った風もなく、頬をスコートの上から
擦り寄せて、その大きさを楽しんでいる。ぺちぺちとスイカのように叩くことさえした。
「ばっ、ばかなこと言ってねーで、するんならさっさとしろよ!」
「するって、何を?」
「ばっ!」
抗議しようと顔を振り向けると、小首を傾げた大阪がいる。計算でやっている感じは全
くない。純粋に質問しているのだ。
「くっ」
 なぜか自分の方がいやらしいように感じられて、言葉に詰まる。目を反らした、その時、
何かが滑り落ちる感覚がお尻のあたりに起こった。
「!」
 見れば大阪の熊手状になった両の指が、スコートの端にそれぞれ掛かっている。そのまま
大きな丸みに合わせるように、するりと下ろしたのだ。
「お、お前、人の話は最後まで聞……」
「うわぁ、ヒモみたいやぁ」
「ぁう」
暦の履いている下着は白いTバックだった。スコートからはみ出ないようにと配慮して
きたのだが、もちろんこんな事態までは想定していない。

 

563 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:06:04 ID:LPgakyTE

ボリューム感のある二つの丸み、その中央を白く細い布地が縦に走っている。それだけ
だ。他には何もない。
「よみちゃん、これ、どこで買ったん? 何かあやとりできそうや」
「〜〜〜〜〜っ」
 ぱっちりした瞳がまじまじと自分を見つめているのを感じ、羞恥の火がさらに燃える。
 開かれた両膝をつないでいる、引き延ばされたスコート。暦はそれを今すぐにでも引き
戻したい衝動に駆られた。だが、当然大阪が許すはずもない。されるがままだ。
「っ、おまえっ」
「えぃ」
「あぁッ」
何か言い返そうとするが、ヒモの上部を引っ張られ、言葉に詰まる。
 敏感な部分に下着が食い込んでいる。そこを保護すべき布地がスリットを割り、圧迫し
ているのだ。
上に引かれることで臀部は半ば剥き出しになっていたが、そこに気を取られる以上に、
自身の蕾から送られる感覚に暦は囚われていた。痺れるような刺激は背筋を通って全身に
広がった。
(何で、こんなに私……っ?)
 背中をそらし、身じろぎしながら暦は戸惑う。
 今日はいつも以上に感じやすくなっているようだった。学内という場所での行為が、
ある種の慣れによって不安感を快感に転換させているのだろうか。あるいは大阪の無邪気
な行動が、精神的な前戯になっていたのか。どちらにしても暦にとっては認めたくない事実だ。
なぜならそれは、つまり自分が、「そうなってしまった」ということだから。

 

564 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:07:32 ID:LPgakyTE

   違う。自分は、そんな……なんかじゃない。
 暦の葛藤など知るふうもなく、大阪はさらなる行動に出た。
くいっ、くいっ。
「! っあ」
暦の声が大阪の動きに合わせて断続的に漏れる。
 大阪はヒモの上部を片手でつかんだまま、上下に揺らし始めたのだ。
「はっ、あっ、あっ」
上に、下に。暦の臀部が縦に往復する。大阪の手のされるがままに。
 端から見れば滑稽な光景だったろう。自分の大きな尻がまるで水風船のように扱われて
いるのだ。
だが、そんな状況で暦の感じているのは快感だった。
 大阪の引く力と自分の尻の重み、その力の頂点である布地に掛かる圧力はそのまま、
きつく敏感な部分を割ってくるのだ。反動をつけて引けば引くほど、上に行った分、運動
エネルギーは増してより強い刺激を与えてくる。
 腰から背筋までをとろかすような感覚だった。その感覚が上下に動く度に、まるで火が
酸素を送り込まれていくように、大きく強く溜まっていく。さらに動きの過程で一番敏感
なアノ部分が剥きかかってきていた。擦れるたびに鋭い刺激が走り、さらに先端は外に
さらされ、より強い刺激を受ける。火は確実に大きな炎に成長させられていった。
もはや盛大にはみ出してしまっている恥毛が猛烈に恥ずかしかった。吐息は熱く、切な
げな音が混じってきている。それでも口を精一杯結んで耐えようとするものの、小さな手
が無邪気に残酷なリズムを刻むたびにあっさりと決壊して甘い息を拡散させてしまう。
とうとう快楽を示す声が喉までせり上がってきたとき、

 

565 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:08:22 ID:LPgakyTE

カクン、と腰が落ちた。
大阪の指が前触れなく下着から外されたのだ。
突然止められたために暦の燃えていた感覚は行き場を失い、宙に放り出されたようにな
る。それを表すように、丸い臀部が一きり大きく震えた。揺り返しのようなものだ。
「なっ、何だよ」
頬が熱くなるのを隠すように、声は抗議の形を取る。
「えー、でもこのままじゃあかんやん」
 意に解するふうもなく、のほほんと大阪は答えた。膝にあったスコートを取り払い、
そうして指は布地の両端に掛かる。
「びしょびしょになったら困るやろ?」
「なっ、あっ」
真っ赤になって言葉が出てこなかった。自分が快感を享受していることをあっさりと
指摘されたのだ。
 ぐるぐる回って乱れる思考。大阪は続いてTバックをずりおろした。覆うものが何も
なくなり、さらに露わになったそこに両の親指があてがわれて割り開かれる。
直接の視線を痛いほど感じ、そこがじんじんと疼いてくる。その後の行為がないことを
いぶかしむも、じっくりと観察されているのだと思い至り、真っ赤になった。
「あ、今、ヒクンってなったで」
 正直な感想に恥ずかしさを感じる暇もあればこそ、新たな蜜が湧き出してくるのに羞恥
が上塗りされる。
「ええなぁ、ほんま、よみちゃんかわいいなぁ。ここもきれいやし、ほんと好きや」
恥ずかしい台詞を紡ぐ口が、自分との間を縮めていく気配を背後に感じた。

 

566 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:09:42 ID:LPgakyTE

ヌチュ。
 粘膜同士が触れあい、熱い刺激が暦を襲う。
「あぁああっ!」
 とうとう一際高い声を挙上げてしまった。快楽を示すものであることは明らかだった。
 大阪の唇は暦の陰唇にぴったりと密着し、舌は内部に挿し込まれる。
 ピチャピチャと淫猥な音を響かせながら、短い舌は敏感な襞の一枚一枚を確かめるよう
に踊っていった。
「あっ、はっ、お、大さ、かっ、あぁっ」
一度出てしまった声は止めることは叶わず、大阪に翻弄されるままに奏で続けてしまう。
 普段の自分を知る者がこの姿を見たらどう思うだろうか。真面目で勉強もスポーツもできて、
個性だらけの面々をまとめる委員長タイプ。一般の評はそんなところだろう。それが今、
大阪に、脳の代わりにわたがしが入っているとまで言われた彼女に、思いのままいいよう
にされてしまっている。
 だがそんな倒錯的な思考も、ただただ快楽の炎の燃料に他ならなく、四つん這いの暦の
背筋を官能的にそらせた。
「大阪っ、もう…っ」
 ついに切迫した声で懇願する。これ以上は耐えきれないほどに、気持ちは高みに追いつ
められていた。
「うん、わかった」
 じらすような技を塵ほども感じさせないふうな素直さで、大阪はにこやかに微笑んだ。
そして太股の内側に手を掛け、仰向けになるように促す。

 

567 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:11:39 ID:LPgakyTE

身体を転がして、マットの上に背中を預ける。
「う……」
 思わずうめいてしまう。大阪と正面から向き合い、改めて顔に血が上ったのだ。
 自分の今の格好はチアリーダーの服を上に着て、しかし下半身は全くの裸だ。両膝は
曲げられ大きく割り広げられている。まるでセミがするような恥ずかしい体勢。完全に見
られてしまう羞恥に足を閉じようとしても、添えられた両手が許してくれない。自由にな
っている自分の手にいまさらに気づき、秘部に伸ばして隠そうとしたが、
「んしょ」
 という大阪の声と共に、両膝の内側の手に新たな力がこもり、腰が浮き上がる。頭が下になる。
「え…? なぁ…?!」
 足の先が頭の横に、腰が一番高い位置にこさせられた。
「な、ま、待てっ」
自分のとんでもない格好に気は動転する。無理もない。乙女として一番隠しておきたい
場所をあられもなくさらけ出しているだけでなく、柔軟体操でもやりはしないすごい体勢
なのだから。
「これでちゃんと見えるな〜、よみちゃん」
「ばっ」
馬鹿と叫ぶ声が詰まる。何てことを言うのだ、こいつは!
 恥部が丸見えだと言いたいのか。改めて意識させようという意図はないのだろうが、
羞恥心を爆発させることには変わりない。あるいはこれから大阪がすることが、される
自分にも全て目の当たりになることを指しているのだろうか。
「そ、そんな変態、みたいなっ」
「あー、そうやなくてな」
意図することを察したのか、大阪はそれに軽く首を振った。
「ちゃんとよみちゃんの顔、見えへんと嫌なんや」
いつもと変わらないのんびりした顔でこんなことを言う。別の羞恥で顔面を真っ赤に
なってしまうのを感じた。

 

568 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:13:11 ID:LPgakyTE

「じゃあ、イくで」
口に含んだ二本の指を揃えて、暦のそこにあてがう。直前まで追い込まれた秘口からは
蜜が肌を伝うほどに溢れてきており、大阪の指を待ちかねていることを如実に表していた。
「お、大阪っ」
 暦は下から大阪の目を見る。そうしたかった。考えてみれば自分がされているのは
とてつもなく酷い行為だ。しかし、大阪だったら許容してしまう自分がいるのも確かで。
それが流されているだけではないと思いたかった。
「うん」
 大阪は心なしか目に優しさを濃くしてうなずき、そして、一気に奥まで差し入れた。
「んぅううううぅうッ!」
 逆さまの全身が大きく痙攣する。間違いなく歓喜による震えだった。きつく喰い締めて
いることも、その侵入を待ちわびていたことを明示している。
「よみちゃんの中はいつもあったかいな」
「はっ、あっ……ッ」
 抗議も何もなく、快楽が巡って喘ぐ以外の声が出なかった。むしろ膣が収縮して先を促す。
 応えるように大阪の指はゆっくり入り口付近まで引かれ、また差し込まれる。新たな
快楽が白い発光となって胎内から脳髄までを貫いた。
 指は次第にストロークを速くしていき、加速度的に快楽も高みに追いつめられていく。
「ふぁッ!」
さらに親指が陰核に添えられた。新たに強烈な快感が襲う。
もう十二分に勃起したそこが、指の前後するたびに擦りあげられるのだ。しかも中指と
人差し指も内側から押し上げてきており、外側からの親指とで挟み込んで責めてくる形だ。

 

569 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:14:11 ID:LPgakyTE

「はっ…、あくぅ、あぁッ!」
 白光が弾けて思考も何もない。全身に跳ね上がる喜悦。ただ目には、自分の恥部の上方
にある大阪の顔が逆さまに映っていた。場にそぐわないにこやかな笑みが、不道徳な行為
の不安を払拭し快楽に全てを委ねることを許してくれるようで。穏やかだが大きな多幸感
が波動となって全身に広がる。
終わりが近づいていた。精神が頂点へ追いつめられている。マットに押しつけられて
自由にならない頭を振り、目尻から涙を上に流し、短い喘ぎを熱く繰り返して、大阪を
きつく締め付けた。
「よみちゃん」
 大阪は顔を下げ、快感に跳ね上がる腰を押さえるように添えられた左手、その横の臀部
に軽くキスをした。
そして強く手首に回転を付けて、激しく中をグリュグリュとかき混ぜる。
「……………………!!!」
声にならない声が口から吐き出され、酸欠になった魚のように開閉した。膨大な快楽の
奔流に脳の回線はショートし、意識は真っ白になって、飛んだ。


 

570 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:15:37 ID:LPgakyTE



「ん……」
なまぬるい空気の中、けだるく浮上してくる意識。懐に温かな何かが寄り添っているの
を感じて、ぼんやりした視覚の焦点を合わせてみると、大阪がしがみついて添い寝していた。
穏やかな寝顔。小動物を連想してつい微笑んでしまう。
 スコートを確認すると下着も含めて履き直されていた。内股などを触ってみると、ちゃんと
拭き取ってくれてもいたことが伺えた。
(抜けてるくせにこういう気遣いはできるんだな)
 苦笑混じりに、そっと大阪の指を自分の上着から外してゆく。そろそろ戻った方がいい
だろう。大阪の挙動不審は普段のことだが、自分が長いこと役割を放棄しているのは不審
がられてしまう。似合わないチアリーダーを再開しなくては。
 起こさないように静かに身を離すと、半開きの大阪の口からつぶやきが漏れた。
「……よみちゃん」
目を覚ましたのかと思ったがそうではなかった。依然目は閉じられたまま。寝言だ。
「よみちゃんはかわいいで……」
不意打ちだ。顔が熱くなる。
 素で言っているのだろう。だからこそ余計にだ。参ったな。
頬をかきながら今度こそ倉庫から出ようとすると、ふとある思考が頭をかすめた。
 ……もしかして。いや、まさか。
 しかし、ひょっとするとそうかもしれなかった。
(慰めてくれたのか?)
 かわいいと言われることを望み、だがあっさり裏切られて落ち込んでいた自分。それを
目にした大阪が、恋人の可愛さを証明するため一肌脱いだ、いや脱がせたのだろうか。
 マットの上に眠る少女を見る。
 未だにこの万年春模様な彼女の思考は理解し切れてないが、一つはっきり言えることがあった。
 こいつは私がどうであれ受け入れてくれる。
 それだけは信じることができる。こうして肌を合わせて改めてわかった。始めから終わりまで
大阪は自分の全部を丸ごと抱きしめてくれたからだ。
 我ながらこっぱずかしいフレーズだとは思う。けれど、他に形容する言葉がないのだか
ら仕方がない。誰にも言えないけどな、こんなこと。
 代わりに、穏やかな寝顔にそっと顔を寄せる。触れるように唇を頬に付けてから、暦は
体育館倉庫を後にした。


 

571 名前:[sage]:2007/02/05(月) 06:17:04 ID:LPgakyTE



 自分のクラスを応援するチアリーダーの一団。ポンポンを振りながら、息を合わせて声
を張る。各自は微妙にずれながらも、微笑ましさというアクセントになっている。
 その中でも一際目を引くのは、当然のことながら年相応に小学生程度の背丈の少女である。
 しかしながら、
「なあ、あいつだけど」
「あいつ?」
 チアリーディングから少し離れた場所、別のクラスの男子達が言葉を交わす。
「あそこで応援やってるじゃん、あの眼鏡のやつ」
「ん? ああ、水原か」
「水原だな、水原…何とかよみ。それがどうかしたか」
「や、別に、ちょっとさ」
「何だぁ? 気があんのか、お前〜」
「ち、ちげーよ、そうゆーんじゃなくてよぉ」
「んじゃ何よ」
「ん、いやさぁ、あいつ何か」
「ああ」
「かわいくね?」
「あー?」
「かわいい?」
確かに他の女子とは違い、その応援姿には目を引くものがあった。
 白い足を大きく挙げしなやかな腰を振る度に、上着の下にあるであろう豊かな膨らみが
揺れる。眼鏡越しの瞳はきれいに輝いて前に向けられていた。
「ああ、まぁ確かに」
「あいつあんなにかわいかったか?」
「んー?」
 彼らにはわからないことであったが、暦が先ほどまで持っていたどことない陰りは一切
取り払われているのだった。彼女は何の引け目もなく自分自身を爽快に発揮している。
そのことが他の女子にはない魅力を出しているのだろう。もちろんその理由は誰も知らない。
「いや、と言うより」
「と言うより?」
「エロいな」
 よくよく見ると上気した顔に、潤んだ目。大人びた雰囲気を持ちながら、恋を知った
ばかりのような初々しさも帯びている。動きも妙に色っぽい。そのままお立ち台に乗せて
も通用するのではないか。全くもって、注目すればするほど青い情動を刺激せずにはいら
れない。もちろんそうなった理由も、知る者はいるはずもないのだった。
「確かに」
「フェロモン出しまくりってやつだな」
「ああ、エロいな」
「エロい」

結論、

【やっぱりよみはエロいな:完】
 

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