8 名無しさん@ピンキー sage 2011/10/19(水) 18:57:30.29 ID:dhd5F9lI
 下校時間―

 「ん?」
 いつもは帰り支度が終わると、勉強から解放された嬉しさで、猪突猛進が如く家路につく滝野智だったが、
今日は普段目にしない、見覚えのある(不審者)の姿に足を止めた。
 「後藤じゃん」
 「わッ!?い、いきなり話かけないでくれよ!」
 「何ゲームの町人みたいな事言ってんだ?」
 智は後藤の後ろから声をかけた。
 勿論、なるべく気配を殺して近づいたのだ。
 そして智は、後藤の姿を何故(不審)だと思ったかの原因を足元に見た。
 一冊のよれよれの雑誌がある。
 (……)
 (……)
 背表紙の字が読める。
 「え〜と、激エロ素人ひ―」
 「読むなーー!?」
 「なるほど」
 智も高校生ゆえ、そこまでウブでもなく、なんとなく後藤の行動を理解した。
 「タマってますな」
 「や、やかましい!…あからさまにイヤな発音で喋るなよ」
 「シャぶるな?」
 「もういい!黙れ!」
 智も、これ以上後藤を弄る事もないかと踵を返して歩き出した。
 (ふぅ…嫌な所を見―)
 「電信柱の影に隠れて後藤の様子を伺う、謎の素人美女女子高生!」
 「自分で美女言うな!!しかも素人って、早速雑誌のタイトル拾って付け足すな!!」
 (ぐっ…わかっちゃいたけど、コイツは―!!)
 「ふっふっふ…楽しい事は逃さないよ〜!」
 智の目が輝いていた。
10 名無しさん@ピンキー sage 2011/10/19(水) 19:22:54.22 ID:dhd5F9lI
 あれから三日後―

 「?―何だよ後藤、私の顔に何かついてるのか?」
 「い…いや、そういうじゃなくて―」
 おかしい。
 あの滝野だぞ?!
 自称・暴走女子高生の!(改訂版前単行本1巻参照)
 それにあんな失態を晒したのに、何一つ噂のうの字すら立ってない。
 (…どうして?)
 「よ、後藤!英語頑張ってるか?海外生活への準備はバッチリか?ハハハ」
 「あ、ああ…多分な」
 「?」
 気になる事があると、人との会話も上の空だ。
 (…ま、まさか校内放送だとかで一斉に―)
 『〇年〇組の後藤くん、落とし物が届いています。激エロ素人――』
 「ぎゃあああああああッ?!」
 「わあ?!」

 「…で、珍しく後藤も廊下に立たされた、と」
 「お前は常連だったな…」
 (これは幸運なのか不運なのか…ただ、確かめるチャンスなのは確かか?)
 「…な、なあ?」
 「ん?」
 「前に、そう三日前にあった事、覚えてるか?」
 (…―し、しまった!!これじゃ何かあったんだ、と自白してるも同じじゃんか!!)
 「ん〜…そういや、珍しくよみと一緒じゃなくて帰ったっけ?」
 「へ?」
 「他に何かあったのか?」
 (やった!か、完璧に…忘れてるぞ!…そういう事だったのか!)
 「いや、ならいいんだ…」

 「あ、後でアレ返すねエロ本」

 「(◎ ◎ )」
11 名無しさん@ピンキー sage 2011/10/19(水) 20:16:14.22 ID:dhd5F9lI
 「で、俺たちは何で…」
 「ラブホにいるんでshowー!」
 後藤もビックリな展開の早さ。
 (何?私と「ヤリたい」の?)
 (…そ、そりゃ、滝野がYESだって言うなら―)
 (じゃ殺ってみますか!)
 (今、「殺す」のヤるだろ?―無茶すんな。いいよ、もう―)
 (じゃ、本気でヤろう!)

 「…こんな簡単に事が運ぶなら、あの日さっさと道端でいきなり押し倒して―ブツブツ…」
 「わー!?布団とか家のより上等じゃん!!生意気ー!!」
 「いや、そういう雰囲気が大事な店だから…」
 大人な店にいるのに、智のおかげで、初の遠足を楽しむ学童二人、な雰囲気だが。

 しかし、後藤の次の一言が空気を変えた。
 「一応、ゴムだけはしとくか」

 「私は一応、なんだ…」
 「な、何だよ?だって…俺ら学生だぜ!?万一、デキたらどうすんだよ?!子供の育児費、学費、給食費etc!etc…!」

 「…くくく、落ち着けよ後藤。いや、結構マジでテンパってるな」
 「て!?―このッ!!」
 智にからかわれていたと分かり、顔を真っ赤にする後藤。
 しかし、その逆襲の素振りに力は無く―
 「…いいんだよな?」
 ふわふわのベッドの上で、中途半端に衣服を脱いだ二人が見つめあう。
 「うん…」

12 名無しさん@ピンキー sage 2011/10/19(水) 20:39:54.46 ID:dhd5F9lI
 滝野は、極端な貧乳でもないし、顔立ちもそこまで美形だと言うわけでもない。
 しかし、今の後藤にとっては他ならぬ女神だった。
 二人とも、うろ覚えに聞いた性知識を総動員し「素人」全開で求めあった。
 「あっ」
 後藤の指が、智の乳首の先や、肛門の下の秘所を弄る。
 「まだまだ指で遊んでやる」
 「へ、変態…」
 悪態のセリフも、熱をおびて罵倒にはなっていない。
 そして―
 「これ?」
 「何だよ…今さら嫌とか勘弁してれよ?」
 「う、うん。そうじゃなくて…後藤のソレって―」
 智は手の親指と人指し指を使い、後藤の海綿体の大きさを計る真似をした。
 「普通、だろ」
 「そ、そうなんだ…」
 (まあ、普通の女子高生がいきなり見たらそうなるか…って、コイツ普通って柄か?!)
 「今すごい失礼な事考えたろ?」
 「ああ」

 「くそぉ!開き直りやがって!」
 智はここぞとばかりに、後藤にフェラチオを始めた。
 「うおぅッ!」
 「ふふふ…では私も失礼させてもらうかね」
 「いやいや、まだまだ!お礼はたっぷりとね!」
 とりわけ酒も入ってないのに、二人はその行為を少しずつ加速させていった。
13 名無しさん@ピンキー sage 2011/10/19(水) 21:17:42.22 ID:dhd5F9lI
 気がつけば―
 二人してもう全裸。
 衣服や下着をいつ脱いだか脱がされたかも忘れ、二人は絡みあっていた。
 「鏡…あるね」
 「あ、ああ」
 最初に上等な布団の事ばかりに気をとられていて、壁の色や周りの事に今さらながらに気づく二人。
 滝野の素振りが、急に大人しくなる。
 そして、仕草も心なしか色気を増して―
 「こう、だっけ?バック…」
 いきなり自分の前に差し出された尻に、面食らう後藤。
 「う、うん」
 「け…結構この格好って恥ずかし―ッ!?」

 「なら、早く!手早く!済ませる!」
 智の尻を両手で固定し、入れたペニスを、ズッズッと擦る様に小刻みに動かした。
 「…う、ん!…ううん!ゆっくりで…いい…よ」
 「じゃ、ゆっくり」
 「ん!…はぁ…はぁ…」
 普段はガキ大将みたいな智が、今だけは、顔を紅潮させた女の顔で、
後藤に雄の役割を懇願する雌の身体を見せつけていた。
 無論、鏡にもバッチリと。
 「後藤って…エロい?」
 「人並みに、な」
 「…私ってさ、ブス?」

 「ンな事、あるかよ」
 「みんな…よみの方を見る、よ」
 それから―
 部屋中にパンパン音が響くほど、二人が腰と腰をうちつけあう程に至って、
後藤が(一回戦目)を終了する。
14 名無しさん@ピンキー sage 2011/10/19(水) 21:46:12.58 ID:dhd5F9lI
 後藤の(一回戦目)が終わった後―

 『私って、ブス?』

 智の、ある種の「トラウマ」を少しだけ聞かされた。
 (いや、なんとなく俺が理解できてしまった、と言うべきか…)
 「いつも脇には、OLや女子大生に見間違われる友達がいて―」
 「クラスの男子は皆、榊さんや神楽とかばっかり見て―」

 (…だから、あのエロ本がきっかけになって、自身にも女としての魅力が
どこまであるのかを、俺みたいのでも相手にして確かめてみたくなった―そんなトコか)

 「お〜い」
 後藤が、ペチペチとぐったりした智のほっぺを叩く。
 「…ん、んん〜!」
 身体をゆっくりおこしてから、普通に伸びをする智。
 (こうして見ると単なる子供なんだよなぁ、普段は…)

 「おはよう!」
 「ああ、おはよう」

 「…あのさ…さっきまで私が喋った事って」
 「秘密にするよ。だからお前も、今日の事と本の事を忘れてくれ」
 「任せて!忘れるのは得意!」
 「自慢になんねぇ〜!つか、約束自体を忘れるなよ!」

 「あはは!そんなバカいないって!」
 「…まあ、忘れる早さは今納得したよ」

 この日以降、二人の高校生活中、後藤が海外に行くまで、密かにセクフレみたいな関係は続いたらしい。

      《完》
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